ビットコイン"採掘屋"が続々AIに鞍替え! ハット8の1.6兆円契約で関連株が軒並み急騰した「本当の理由」

概要:ビットコイン採掘企業の株価が、ハット8とアイレンによる大型AIインフラ契約(総額98億ドルと28億ドル)を受け急騰。AI転身への期待が投資家心理を押し上げた一方、内部関係者による株式売却や業界全体でさらに500億ドルの資金需要が指摘され、懸念も残る。

ビットコインの“採掘業者”たちが、AIバブルの追い風を受けて一斉に沸き立った——。

月曜の取引で、複数のビットコイン採掘(マイニング)企業の株価が急騰した。火付け役となったのは、ハット8とアイレンの2社が相次いで発表した大型のAIインフラ契約である。採掘企業がAI(人工知能)や高性能コンピューティングへと事業を広げる——その“転身”への期待が、投資家心理を一気に押し上げた格好だ。

この日の朝方の取引で、アイレン、サイファー・デジタル、クリーンスパーク、ハット8、マラ・ホールディングスの5社は、いずれも最低11%の上昇を記録した。

きっかけは明快だった。ハット8が自社のAIデータセンター拠点をめぐり、15年契約・総額98億ドル(約1兆5,925億円)という巨額リース契約を発表。さらにアイレンも、AI開発企業とのクラウドサービス契約28億ドル(約4,550億円)分を明らかにしたのだ。両社ともにもともとはビットコイン(BTC)の採掘業者だったが、採掘ビジネスの採算が悪化するなか、AIインフラとクラウドコンピューティングへの軸足移動を加速させてきた経緯がある。

アイレンにいたっては強気だ。AIクラウド事業だけで、2026年末までに年間経常収益40億ドル(約6,500億円)超を叩き出す——そう鼻息荒く見通しを掲げている。

この熱狂は、指数の動きにもくっきりと表れた。ビットコイン採掘、ネオクラウド、AIインフラの3セクターにまたがる20社を追う「ジ・エナジー・マグ」のTEM・AIインフラ成長指数は、月曜に1.4%上昇。直近1週間では12%超も駆け上がった。

The performance of the TEM AI Infrastructure Growth Index.

Source: The Energy Mag

ビットコイン採掘株の急騰は、ハイテク株全体の持ち直しとも歩調を合わせていた。ナスダック総合指数は正午までに0.9%上昇。AIブームを支える半導体メーカーの動向を映す注目の指標フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も2%上昇した。同指数は先週、直近高値から20%以上下落する“テクニカルな弱気相場”入りしたばかりだったが、そこから息を吹き返した形だ。

AI転身が生む急騰、そして拭えぬ疑念

もっとも、話はそう単純ではない。

ビットコイン採掘株は今年、激しい乱高下に見舞われてきた。採掘環境の悪化に苦しむ一方、各社がこぞってAIインフラとクラウドへ舵を切っているためだ。ブロックスブリッジ・コンサルティングによれば、このAI転身が業界全体の“再評価”を一気に押し進めた——が、同時に、経営陣による自社株売却への投資家の視線も、格段に厳しくなったという。

同社は最新の「マイナー・ウィークリー」ニュースレターで、テラウルフ、ライオット・プラットフォームズ、コア・サイエンティフィック、サイファー・マイニングにおけるインサイダー(内部関係者)の株式売却が投資家の注目を集めている、と指摘した。これらの取引はいずれも、あらかじめ定められた売買計画に基づいて機械的に執行されたものだ。とはいえ、疑念は消えない——AIへの熱狂で株価が十分に吊り上がったところで、幹部連中がまんまと“現金化”したのではないか、と。

そして忘れてはならないのが、この転身には巨額のカネがかかるという冷厳な事実である。すでにビットコイン採掘企業は多額の投資を強いられてきたが、必要な資金はこんなものではない。ブロックスブリッジの試算では、業界がAIの野望を実現するにはさらに500億ドル(約8兆1,250億円)が必要になるという。なかでも資金ギャップが最大なのがアイレンで、その額はおよそ211億ドル(約3兆4,288億円)にのぼる——。

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