GitHubで公開された新たなオープンソース分析が、「イーロン・マスク氏がサトシ・ナカモトである」とする有名な仮説を検証した。支持者がよく挙げる3つの筆跡特徴が調査対象となった。
しかし、分析結果からはマスク氏の文体とビットコイン匿名創設者の共通点はほとんど見出せなかった。
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サトシ文体分析テストの結果
文体分析は著者の特定や比較を目的とした文体の統計的研究である。スペルの傾向や句読点の使い方、頻出語の割合などを測定する手法を取る。
マスク氏仮説は、2017年に元SpaceXインターンが主張したこともあり、数年前から広まっていた。だが、イーロン・マスク氏はビットコイン創設を繰り返し否定している。
Not true. A friend sent me part of a BTC a few years, but I dont know where it is.
— Elon Musk (@elonmusk) November 28, 2017
この仮説を検証するため、「satoshi-stylometry」リポジトリの研究者は、Grok Botと文体分析技術を組み合わせた。皮肉にもGrokはマスク氏自身の会社xAIが開発したAIチャットボットである。分析は以下3つの重要な主張に着目した。
- ダブルスペース:サトシは文末のピリオド後に2つのスペースを95.3%の確率で使用。マスク氏のX投稿にはその事例が皆無。
- イギリス式スペル:サトシは32.7%の確率でイギリス式を使用。一方、マスク氏は0.65%のみ。
- 単語パターン:関数語の類似性でマスク氏は66人中30位で、コントロール被験者と近い結果。
さらに、マスク氏の初期文書にイギリス式の形跡は確認できなかった。2006年の最古のテキストから既にアメリカ式綴りを採用していた。

AIと文体分析がサトシの文体を解析、マスク氏仮説は崩壊 GitHubより:GitHub
特筆すべきは、サトシのテキストサンプルについて機械が30回中27回、正しく帰属判定したという点である。この精度は比較結果に一定の統計的根拠を与える。
イーロン・マスク氏はサトシ・ナカモトか データが示すもの
データによれば、答えは「否」である可能性が高い。
興味深いことに、サイファーパンクのハル・フィニー氏はサトシの文体にマスク氏より近いスコアを記録。対照的に、ニック・サボ氏はさらに遠いスコアとなった。
細かい癖も異なる。サトシは「e-mail」と17回表記、ハイフンなしの「email」は3回のみ。一方、マスク氏は「email」を65回使用、ハイフン形は一度もない。
同リポジトリでは、ビットコイン支持者のブラッド・ミルズ氏のX投稿も検証。彼の場合は66人中52位となっており、関連性は見いだされなかった。
ただし、著者は複数の留意点を強調している。
- ジャンルの違い:サトシはメールやフォーラム投稿を書いたが、マスク氏は主にツイートを投稿。
- スマートフォンの書式:スマホはダブルスペースを自動修正する場合が多く、この検証には弱点が残る。
- サンプル数:2013年以前のマスク氏スペル例は8件のみ。
最後に、READMEでは本分析はあくまで趣味レベルのプロジェクトであり、法医学的な言語調査ではないと説明されている。
従ってサトシの正体を決定づける、あるいは否定することはできない。当面、ビットコイン創設者の謎は未解明のままである。

