世界的な株価指数算出会社MSCIが、暗号資産を大量に保有する企業の株価を揺るがしかねない新ルールを導入した。
これにより、ビットコイン(BTC)を大量保有する米ストラテジー(MSTR)や日本のメタプラネット、米ユペクシなどが、MSCIの世界株価指数から除外される可能性が浮上している。ほかにも複数の暗号資産トレジャリー企業が、除外候補として監視対象に置かれる見通しだ。
MSCIは15日、8月に提案していた新たな算定基準を正式に採用すると発表した。
新ルールでは「非事業会社(Non-operating companies)」と判断された企業を、MSCIグローバル投資可能市場指数(GIMI)の構成銘柄から除外する。
MSCIは以前、この基準に基づいて指数から除外される企業の候補として、ストラテジーを挙げていた。
また、シャープリンク(SBET)、トン・ストラテジー・カンパニー(TONX)、ソラナ・カンパニー(HSDT)、DeFiディベロップメント(DFDV)なども、今後の除外対象となる可能性がある企業として監視リストに加えられる。
問題は、指数からの除外が単なる銘柄の入れ替えでは済まない点にある。
MSCIの指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)は、指数の構成銘柄に合わせて株式を保有している。そのため、企業が指数から外れれば、こうしたファンドが保有株式を売却する必要に迫られる可能性がある。
結果として、対象企業の株価に下落圧力がかかるだけでなく、インデックス投資を通じた継続的な資金流入も減少しかねない。
ビットコイン・ポリシー・インスティテュートのエグゼクティブディレクターを務めるコナー・ブラウン氏は9月、ストラテジーを例に挙げ、幅広い市場指数から除外されることの影響について、次のように指摘していた。
「企業を除外する選択などしていない数千万人もの人々の標準的な投資ポートフォリオから、その企業が消えてしまうことになる」
MSCIが今回採用した新基準では、企業が保有する事業用資産と5つの財務比率を基に、指数への組み入れ資格を判定する。
まず、十分な事業用資産を保有しているかを審査し、その基準を満たさない企業について、5つの財務指標による追加審査を実施する。
このうち4項目以上で基準に抵触した場合、指数への組み入れ資格を失う可能性がある。
ただし、すでに指数に組み入れられている企業については、原則として直近2期の年次報告期間の両方で除外基準に該当することが必要となる。
MSCIによると、最終的な除外企業のリストは2026年11月11日に公表され、同年11月30日の取引終了時から変更が適用される予定だ。
こうした指数除外をめぐっては、巨額の株式売却が発生するとの懸念も指摘されてきた。
JPモルガンのアナリストは以前、ストラテジーがMSCIの指数から除外された場合、約28億ドル(約4424億円)規模の売りが発生する可能性があると試算していた。
ただし、この試算はMSCIが以前検討していたデジタル資産に関する除外案を前提としたもので、今回正式採用された新ルールに基づく予測ではない。
一方、ストラテジー側は指数除外による影響は限定的だと主張している。
同社は8月、MSCIの新基準に反対する姿勢を示しながらも、実際の市場への影響は大きくないとの見解を公表した。
ストラテジーによれば、MSCIグローバル投資可能市場指数に連動するファンドが保有する同社株は約1300万株で、発行済み普通株式の約3.1%に相当する。
さらに、その保有株数は同社株の1日当たりの取引量を下回る水準だという。
同社は、指数から除外された場合でも、売却による市場への影響は限定的になるとの立場を示している。

