「銀行預金が根こそぎ消える」──ステーブルコイン急拡大にECB幹部が緊急警告 デジタルユーロ導入のウラ側

概要:ECB理事チポローネ氏はローマの講演で、ステーブルコイン普及が銀行預金基盤を侵食し、モバイル決済事業者に手数料とデータを奪われ、欧州の域外決済インフラ依存が深まると警告。デジタルユーロが銀行の決済関与維持と公的マネー保護に不可欠と強調。ECBは36事業者を選定し、2027年下半期から12カ月の実証実験で個人向けCBDCの機能検証を実施、早ければ2029年発行見通し。

欧州中央銀行(ECB)の理事を務めるピエロ・チポローネ氏が、ステーブルコインの普及が広がれば、市中銀行(コマーシャルバンク)の個人向け預金基盤が切り崩されかねない、と警告を発した。

同氏がこの発言を行ったのは金曜、ローマで開かれたイタリア協同組合信用銀行連盟(フェデルカッセ)向けの講演の場だ。チポローネ氏は、デジタル決済が銀行のあり方を根底から塗り替えつつあり、欧州が域外の決済インフラへの依存を年々深めている、と危機感をあらわにした。

チポローネ氏によれば、銀行はすでにモバイル決済事業者に、決済手数料と取引データをジワジワと奪われているという。そのうえで、デジタルユーロこそが決済システムにおける銀行の“生き残り”を支える切り札になると付け加えた。

「デジタルユーロは、公的マネーの役割を守ると同時に、銀行が顧客のニーズに応え続けながら決済エコシステムに関与し続けることを保証するものだ」とチポローネ氏は語った。

火曜には、ECBが銀行、フィンテック、決済関連企業を含む36の決済サービス事業者(ペイメント・サービス・プロバイダー)を選定。2027年下半期に始まる予定の、12カ月間にわたるデジタルユーロ実証実験(パイロット)に参加させると発表した。

このプロジェクトの狙いは、発行に踏み切るか否かの最終判断を下す前に、個人向けの中央銀行デジタル通貨(CBDC)がユーロ圏全体でどう機能しうるのかを、あらかじめ検証しておくことにある。ECBは、その発行が早ければ2029年にも実現しうる、との見通しを示している。

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