トム・リー氏、S&P500が8000達成前に10%下落を期待、ビットコインは既に経験

概要:ファンドストラットのトム・リー氏は、S&P500が8月末までに8000に達した後、10%の調整があり得るとし、調整を経た方が市場は健全だと述べた。企業業績の上振れを根拠にする一方、マージン債務の過去最高、債券市場の不確実性、11月の中間選挙、SpaceXのロックアップ解除という4つのトラップを警戒する。ビットコインは約6万3000ドルで既に調整を経ており、同氏は暗号資産とAIの長期的な強気見通しを維持。投資家の慎重姿勢こそが上昇の燃料になるとも語った。

ファンドストラットのトム・リー氏、S&P500が8月末までに8000に到達すると予想。さらに10%の調整を見込み、市場はむしろ調整を経た方が健全だと主張。

リー氏は、7月のインフレ率が穏やかで株価が過去最高値を更新した直後、CNBCでこう述べた。暗号資産投資家が、6万3000ドル近辺のビットコインを見守る中、この議論には既視感を覚えるかもしれない。

トム・リー氏が株価8000到達前の調整を望む理由

株式市場は上昇局面にある。7月の消費者物価指数は前月比で0.1%、前年比で3.4%増となり、予想と一致。コアインフレ率は年率2.5%だった。

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この発表は弱い内容の7月雇用統計に続くもので、これによりFRBによる9月の利上げ確率は約40%まで低下。S&P500は8月12日に過去最高で引けたが、リー氏の目標値は変わらない。

「この上昇は健全で、7月末から8月末にかけてS&P500が7900、8000に到達するという我々の見立て通りに推移している」ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのトム・リー調査責任者がCNBCで発言。

その根拠となるのは企業業績だ。リー氏によれば、2027年の利益予想は決算シーズン初めの395ドル程度から現在は410ドル程度へ上昇。425ドルの利益に20倍の倍率をかければ9000近辺が示唆される。

しかし、この強さこそが同氏の懸念材料となる。顧客向けノートで4つの調整リスクを指摘。自身が示すレンジの上限が反転ポイントになるとみている。

S&P500のパフォーマンス 出典:TradingView

「8月末に8000到達となれば、その後はファンダメンタルズが良好でも株価が期待を裏切る局面となるだろう」

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マージン債務が最大の警鐘材料

最初の懸念は借入金だ。証券業金融規制機構(FINRA)のデータによれば、6月のマージン債務は1兆5300億ドルで過去最高。1か月で7.9%増、前年比では51.5%増となった。

次は債券市場。ケビン・ウォーシュ氏が今年FRB議長に就任し、新たなインフレ枠組みを導入した。投資家はまだその評価を定めかねている。

「一因はマージン債務が非常に大きくなっていること。もう一因は、ケビン・ウォーシュ氏の新たな枠組みに市場がどう反応するか、債券市場で混乱が起きる可能性が残ることだ」

3つ目は11月の中間選挙。そして4つ目はスペースX。段階的なロックアップ解除により、インサイダーや従業員の株式が市場に継続的に放出されている。リー氏は7月初めからこのスケジュールに警鐘を鳴らしてきた。これら4点を、売却理由ではなく「トラップ」と位置づける。

トム・リー氏が10%調整予想の根拠とする4つのトラップ 出典:BeInCrypto

パネル参加者全員がこの慎重姿勢を共有したわけではない。ペイン・キャピタルのコートニー・ガルシア氏は、企業業績が現在の株価を正当化していると主張。過去3か月でヘルスケア、金融、工業セクターはいずれも指数を上回って推移しているとしている。同氏の見解では、AI設備投資に関する懸念も、決算発表を受けて後退したという。

一方、ロビンフッドのステファニー・ギルド氏はリー氏寄りの見方。上昇局面では簡単に信用取引が増え、ファンダメンタルズが維持されても、急落リスクが拡大するという。

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ビットコインはすでにリー氏が警鐘を鳴らす調整を経験

ここから株式市場の展開は、暗号資産にとっては難しい局面となる。ビットコイン(BTC)は現在6万3062ドル近辺で推移し、過去24時間で0.5%下落。時価総額は約1兆2700億ドルとなっており、依然として最大のデジタル資産である。

ビットコイン価格の推移 出典: BeInCrypto

米国株が連日で過去最高値を更新する一方、ビットコインの現在の価格水準は依然として過去最高値から大きく下回る状況だ。 リー氏が米国株市場に期待するレバレッジの巻き戻しは、暗号資産市場ではすでに進行済みであり、ホルダーも影響を免れなかった。

リー氏はこの点を数か月前から指摘している。同氏は、暗号資産市場はすでに多くの投資家が認識しない隠れた弱気相場を通過したと主張した。当時のショートポジションの水準は、市場の底に近い典型的な水準にあった。

Fundstrat co-founder Tom Lee says half the equity market and crypto already moved through a hidden bear phase.

Lee says:

– AI and tokenization are reinforcing blockchains long-term future.

– Stablecoins will become the backbone for AI agents at scale.

Agree with Tom Lee? pic.twitter.com/RMJYlEVMsH

— BeInCrypto (@beincrypto) May 4, 2026

同氏は自らの見解に資本も投じている。リー氏はBitMine Immersion Technologiesの会長を務めており、同社はイーサを主なトレジャリー資産として保有する。イーサリアムは今後の上昇局面を牽引する銘柄の一角と位置付けている。

同氏のより大きな仮説は、自信ではなく懐疑に基づく。リー氏によれば、多くの機関投資家は依然としてAI関連株は既に買われすぎとみなしており、企業収益もピークを付けたとの見方が根強い。数兆ドルの現金も市場外で待機している。リー氏はこうした慎重姿勢こそが上昇の燃料になるとみている。

「ブルランの終わりを意識している市場参加者はいるが、それが上昇局面の健全性を保っている要因だと考える」

今後2週間はこの見通しの前半を試す局面となる。S&P500が8000に達し、そこを下回った場合、暗号資産には新たな問いが生じる。既に大幅に値を下げている資産はさらに下落するのか、それともついに株式と連動を解くのか。

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