イーサが7週ぶり"急騰"! たった1日で"弱気筋"101億円が強制退場…次の狙いは「34万円台」か

概要:イーサ(ETH)は約7週間ぶりに1,950ドルを試し、6月安値から29%上昇したが、弱気ポジションの強制清算が発生。一方でオンチェーン指標は低迷し、分散型アプリの週間収益は2024年9月以来の低水準、DEX取引高も縮小している。デリバティブ市場の資金調達率は中立圏にとどまり、ステーキング比率は過去最高の34%に達し売り圧力を緩和。ただしETHは史上最高値から61%低く、持続的な上昇には市場全体のリスク回避姿勢の後退が必要で、水曜のグーグル決算が鍵となる。

イーサ(ETH)は22日火曜、約7週間ぶりに1,950ドル(約31万8,000円)を試す場面があった。この一撃で、値下がりに賭けたレバレッジの“弱気ポジション”は6,200万ドル(約101億円)ぶんが強制清算に。6月26日につけた安値1,500ドル(約24万4,000円)から29%も駆け上がった格好で、ビットコイン(BTC)を6万6,500ドル(約1,084万円)超へ押し上げた市場全体の“リスクオン”ムードと歩調を合わせた。果たしてETHは2,100ドル(約34万円)の壁を突き破れるのか。

Total crypto market capitalization (left) vs. ETH/USD. Source: TradingView

イーサの値動きは、7月に入って上向きに転じた暗号資産市場全体の流れをほぼなぞる展開だ。火曜の米国株の上昇が、AI(人工知能)関連株の急騰後にくすぶっていた“割高感”への警戒を和らげた。市場では、同日朝に決算を発表したスリーエム(3M)に続き、堅調な企業業績への期待がにわかに高まっている。

グーグルの持ち株会社アルファベットは、水曜の米国株引け後に四半期決算を発表する予定。巨額のAI投資が続くなか、投資家はクラウド事業の売上高が64%成長すると見込む。ここで力強い数字が出れば市場の自信が回復し、暗号資産全体の時価総額を2兆ドル(約326兆円)の大台へ押し上げる後押しになりうる。

イーサリアムの“実需”は低迷、デリバティブも盛り上がりを欠く

もっとも、直近の値上がりとは裏腹に、イーサリアムのオンチェーン指標は“足踏み”状態が続いている。ブロックチェーンの処理需要は半年前の水準まで戻っておらず、その一因は、トレーダーたちがミームコインやユーティリティトークンへの関心を失いつつあることにある。エセナ(ENA)、マントル(MNT)、アービトラム(ARB)といったイーサリアム上の主力プロジェクトのなかには、年初来で50%以上も値を消したものも少なくない。

Ethereum network weekly DEX volumes & DApps revenues, USD. Source: DefiLlama

イーサリアム上の分散型アプリ(DApps)の週間収益は980万ドル(約16億円)まで落ち込み、2024年9月以来の低水準に沈んだ。そのなかで気を吐くのが、スカイ(旧メーカーダオ)の週間320万ドル(約5億2,000万円)、そしてチェーンリンクの同120万ドル(約2億円)である。分散型取引所(DEX)全体の週間取引高も72億ドル(約1兆1,700億円)まで縮小した。

イーサリアムの弱いオンチェーンデータは、デリバティブ市場の“しらけムード”とも見事に符合する。

ETH perpetual futures annualized funding rate. Source: Laevitas

ETH無期限先物の年率換算の資金調達率(ファンディングレート)は、この1カ月、中立圏とされる6〜12%のレンジ内にとどまることすらままならなかった。それでも、弱気筋の売り需要を映してマイナス圏に沈んでいた6月下旬に比べれば、センチメントは改善している。イーサリアムのステーキングへの関心の高まりが、値上がり期待を後押しし、下落リスクを和らげたとみられる。

Ethereum staking data. Source: StakingRewards

ステーキングリワーズのデータによれば、いまやETH供給量の実に34%が“ステーク(預け入れ)”されており、1カ月前の33%から過去最高を更新した。長期保有者が供給を抱え込み続けることで、売り圧力は弱まると専門家はみる。その筆頭がトム・リー氏率いるビットマイン・イマージョンで、直近1カ月で15万6,719ETHを買い増し、いまや流通供給量の4.8%を握るまでになった。

とはいえ、ETHの現在値は2025年8月につけた史上最高値を61%も下回る水準。強気派がデリバティブ市場で今ひとつ盛り上がりに欠ける理由も、ここにある。軟調なオンチェーン指標と半年に及ぶ弱気相場が、持続的な上昇に対するトレーダーの懐疑心を根深いものにしている。

イーサが2,100ドル(約34万円)へ至る道は、市場全体で“リスク回避”がどこまで後退するかにかかっている。だからこそ、水曜に控えるグーグルの売上高見通しが、ことのほか重い意味を持つのだ。

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