韓国銀行のヒョン・ソン・シン総裁が、国債の発行と管理を一変させる技術として「トークン化」を高く評価した。狙いは、政府債務という金融システムの中核を、より効率的でミスの少ない仕組みに作り替えることにある。
シン氏は水曜日、ポルトガル・シントラで開かれた欧州中央銀行(ECB)の中央銀行フォーラムで登壇。トークン化された債券であれば、担保の確認、資産提供者の口座への記帳、さらに適切なタイミングでの取引の巻き戻しが容易になると語った。
「最大の果実は、国債をトークン化することだ」
シン氏はそう述べたうえで、あらゆるものがトークン化されていれば、「はるかに簡単で、ミスもずっと起こりにくい」と強調した。
データ提供会社RWA.xyzによれば、米国債は現在、トークン化された現実資産(RWA)の中で最大のカテゴリーとなっている。その規模は146億ドル(約2兆3500億円)に達し、317億ドル(約5兆1000億円)のRWA市場全体の約46%を占める。
シン氏はさらに、韓国銀行が主導するブロックチェーン型ホールセールCBDC実証実験「プロジェクト・ハンガン」の拡張構想にも言及した。そこでは、トークン化された国債、ホールセール型中央銀行デジタル通貨、そしてトークン化された商業銀行預金を、ひとつの統合台帳上に載せる計画だという。
国債トークン化は金融革新を後押しするか
国際決済銀行(BIS)も、国債のトークン化が市場効率を高め、金融イノベーションを後押しする可能性を指摘している。ただし、その前提として、規制やインフラ面での課題を解決する必要がある。
BISが2025年7月に公表した報告書によれば、政府証券は金融システムにおいて重要な役割を担っている。家計や企業にとっては貯蓄手段であり、さまざまな取引においては担保として機能するからだ。
同報告書は、トークン化についてこう位置づける。条件に応じた処理を自動実行できるようにすることで、市場の効率性を高め、決済リスクを減らし、投資アクセスを広げ、新たな金融サービスの創出を促す可能性がある、というのだ。
BISはこの報告書で、39本のトークン化債券を分析した。その内訳は、企業が発行したものが24本、政府が発行したものが15本である。
従来型の非トークン化債券と比べると、BISは、売値と買値の差であるビッド・アスク・スプレッドが低下していることを示唆する証拠があるとした。一方で、発行コストや利回りについては、従来型債券とおおむね同水準だったという。


