670億ドルヘッジファンド、AI半導体の異例サイン指摘

概要:AI半導体関連株が6月高値から約15.7%下落し、押し目買いからリテール投資家が売りに転じた。シタデルのルブナー氏は過去の底打ち局面で見られた珍しいシグナルと指摘。公開データで再現した独自指標では発動は2回のみで、7月のサインは捉えられなかったが、過去パターンではリバウンド傾向がある。現時点ではレーダーは静観状態だが、インテル決算を控え弱気姿勢が強く、結果次第で再下落もあり得る。

AI半導体関連株が急速に冷え込んでいる。半導体指数に連動するSOXXファンドは、6月の高値から約15.7%下落している。長らく押し目買いが続いてきたが、リテール投資家は売りに転じ始めた。

この動きは、シタデル・セキュリティーズのスコット・ルブナー株式デリバティブ戦略責任者が珍しいシグナルとして指摘したもの。過去の下落局面でも見られた「局所的な底」を示すサイン。

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ルブナー氏の指摘した点

7月のインベスターノートでルブナー氏は、小口投資家が7月2日と7月7日の2回、半導体株をネット売りに転じたと指摘した。この日は、主要半導体企業の指標となるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が約5%下落した日。ただし、下落するSOXへの売りは珍しいという。

注:実際に売買できるのはSOXX(SOX指数連動ETF)のため、本稿ではSOXXのチャートを使用している。

同氏によると、このようなパターンは過去1年で8回程度しか発生していないという。ほとんどが売りが進んだ局面の終盤、反発直前に現れてきた。これこそが、本稿が分析するAI半導体株「底打ち」仮説。

ルブナー氏によるリテール売りエピソード 出典: Charlie Quant Lab

シタデルは、「注文フロー対価(payment for order flow)」という仕組みにより、小口投資家の売買動向を把握している。このデータは一般には入手困難。

AI半導体シグナルを再構築した理由

こうしたオーダーフローは非公開のため、筆者らは公開データで同じシグナルを再構築した。独自指標「リテール・キャピチュレーション・レーダー(RCR)」は、小口投資家の売買が集まりやすい2種類のレバレッジ型ETF(SOXL、SOXS)に着目する。これらは日々、半導体指数の2倍・3倍の値動きを目指すETF。

この2ファンドの売買動向はリテール取引が大半を占める。RCRは底打ちを察知する独自シグナル。

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半導体株が下落局面で、リテールが強気ファンドを売り、弱気ファンドに殺到すると、その行動はこの売買データに現れる。テストでは、この厳格なシグナルが発現したのは2026年3月初旬の2回のみ。

SOXXリテール・キャピチュレーション・レーダー 出典:TradingView

このチャートから、その意味がわかる。SOXXは6月の高値から約16%下落したが、それでも、このシグナルが最後に発動した3月水準からは約80%高い位置で推移している。

率直に述べれば、シタデルは8回のエピソードを挙げているが、公開データを用いた本指標が機械的に検知できたのは2回のみ。7月のシグナルも再現できなかった。このギャップは、独自指標の条件が厳しすぎるか、シタデルの非公開注文フローにしか見えていない情報があった可能性がある。

類似する過去のパターン

それでも両データは同じ傾向を示す。ルブナー氏が挙げたエピソードでは、2月以降、いずれの場合も半導体株はその後5日から10日にかけて上昇し、10日間の中央値は約18%のプラス、3月のケースでは約29%上昇した。

上記の独自レーダーは条件が厳しいため発動は2回のみ。そこで、幅広い半導体弱含みの2日連続下落パターンにも適用範囲を拡大した。これで拾えた事例は10回となり、多くは10日間で中央値7%の上昇と一致した結果となった。

再現性のある2日連続弱含みテスト 出典: Charlie Quant Lab

ただし、このテストはノイズも多い。2月下旬の一例では、その後3週間下落が続いたのちに反発。従って、あくまでも「リバウンド傾向」であり即座の回復を約束するものではない。

直近のAI半導体シグナルの見方

ここで重要なのはタイミング。シタデルが7月初めにサインを出したが、その後半導体株は上昇しているため、シナリオはやや「鮮度を欠く」状況。

現時点でレーダーは「静観」状態。リテールの大幅な売りと下落相場が同時に重なると点灯するが、足元で売り圧力は高まってはいるものの発動条件には達していない。なお、直近セッションは5.45%の上昇(Tradingviewチャートより)で、同ツールは当該上昇局面をカウントしない。

SOXXと他指標の比較 出典: Charlie Quant Lab

それでもAI半導体株への圧力は解消していない。エヌビディアとAMDは売り圧力を最も受け止めており、他の多くの銘柄と異なり、下落局面でも買い注文による下支えが見られる。両社が反発時の先導役となる可能性が高い。

下落を吸収する半導体株 出典: Charlie Quant Lab

次の材料は間近に迫っている。インテルが7月23日に決算発表を控え、オプション市場では弱気姿勢が強まる。プットの取引量・建玉がコールを上回り、市場は決算発表前後で5.2%の変動に備える構え。

SOXXオプション市場の圧力 出典: Charlie Quant Lab

状況は決して収束していない。インテルの決算結果が弱ければ、AI半導体銘柄は再び下落する可能性がある。その場合、現在沈静化している底打ちシグナルが再点灯する。だからこそ、オプション市場では反発よりもリスク回避に資金が向いている。

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