ベテラン投資家、AIブーム終焉を指摘 次はビットコイン

概要:ベテランマクロ投資家ジョルディ・ヴィッサー氏は、AI分野での「イージーマネー」は終了したと指摘し、次の大きなリターンはビットコインにあると見ている。グーグル、メタ、マイクロソフトのAI投資によるキャッシュ流出が収入を上回り、特にメタのフリーキャッシュフローは大幅に減少した。ヴィッサー氏はAIトレードの高リターン時代は終わったとし、今後の成長はブロックチェーン上での自律的資金移動にあり、イーサリアムが優位と予想。市場全体ではゴールドマン・サックスが株価膠着を予測し、FRBの金利据え置きや長期金利上昇で警戒感が広がる中、CLARITY法案の成立や自社株買い再開が今後の焦点となる。

ベテランのマクロ投資家ジョルディ・ヴィッサー氏は、「AI(人工知能)での“イージーマネー”は終わった」と指摘する。同氏は次の大きなリターンが得られるのはビットコイン(BTC)だと見ている。

新たな企業の決算書がその理由を示す。AI分野で最大の投資を続ける企業は、いまや現金の流出が収入を上回る状況に直面している。

大手ITはAI構築で現金を使い果たす

グーグルは前四半期、上場以来初めて支出が収入を上回った。2004年の上場以来初の事態。

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ここで注目すべき指標はフリーキャッシュフロー。データセンターなど設備投資の支出を差し引いた現金残高を示す指標だ。

AIで最大規模の投資を行う3社すべてで、キャッシュの余剰が縮小した。

企業残った現金(4月~6月)前年同期
マイクロソフト196億ドル256億ドル
メタ7億8400万ドル85億ドル
アルファベットマイナス59億ドルプラス53億ドル

中でもメタの減少幅が際立つ。前年は85億ドルだった残高は、今期7840万ドルにまで減少した。

自社発表資料によれば、売上は28%増加した一方、コストは55%増加した。メタは追加で249億1000万ドルを借入れ、設備投資を継続。3カ月で310億8000万ドルを投じた。

ただし、公平を期すなら、一部には法務関連費用や解雇コストも含まれる。合わせて35億8000万ドルに上った。

3社のうち最も健全なのはマイクロソフトだ。決算では売上18%増、Azureクラウド事業は43%増となった。

それでもキャッシュ残高は23%減少した。この流れは誰も避けられていない。違いは規模だけだ。

ヴィッサー氏が「AIトレードは終了」と語る理由

ヴィッサー氏は30年以上にわたり金融市場で活動。22VリサーチでAI研究を主導し、Visser-Labsの創業者でもある。ヘッジファンドWeiss Multi-Strategy Advisersの元CIO。

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「AIトレードは終わった。7倍、8倍のリターンが得られる時代は終了した」とヴィッサー氏はポッドキャストで語った。

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同氏はAI自体が終わったとは考えていない。投資リターンが縮小していると見る。

投資家はかつて7倍や8倍のリターンを期待したが、現在は年30%程度で十分と考えるようになったという。それでも「良い数字だが、もはや特需ではない」と同氏は話す。

背景には競争の激化がある。低コストのオープンソースモデルが急速に普及し、先行優位が続きにくくなっている。ウォール街でもすでにAIチップに関する見方が分かれている。

ゴールドマン「米株にもう上昇余地なし」

大口投資家には新たな追加資金の余裕がほとんどない。ゴールドマン・サックスは投資家に「株価は膠着する」と助言する。

ヘッジファンドはすでに巨額の資金を借り入れて株式を購入。レバレッジは過去5年で最高水準にある。

「短期的な上昇をもたらす“燃料”はほとんど残っていない。この2週間の“瓦礫”を片付けるまで、本格的なリスク選好に転じる議論は難しい」と、ブルームバーグはゴールドマン・サックスのトレーディングデスクの話として伝えた。

個人投資家も慎重姿勢を強めている。今月の売買高は過去5年平均より3%以上下回る水準。

より大きなリスクはコンピューター主導型ファンド。米国株約1960億ドルを保有。相場がさらに下落すれば1週間で157億ドルの売却が必要となる可能性がある。

市場全体に警戒感が広がる。米連邦準備制度理事会(FRB)は9対3で政策金利を据え置きを決定。その後ダウは1153ドル下落し、2025年4月以来最大の日中下落となった。

長期金利も急上昇。30年債利回りは5.20%と、2007年以降で最高水準となった。

ビットコインとイーサリアムに恩恵の可能性も

ヴィッサー氏は、今後AIプログラムが自律的に資金移動を始めると予測する。その舞台はブロックチェーンとなる。

ただし同氏は「ビットコインが主役になるとは考えていない」と語る。投資家は手数料収益のあるネットワークを重視し、イーサリアムの優位を見込むという。

直近1カ月の動きもそれを裏付ける。イーサリアム(ETH)は1,921ドル付近で推移し、30日間で23.3%上昇。ビットコインは64,793ドル前後で10.9%の上昇となっている。

ビットコインとイーサリアムの価格推移。 出典: TradingView

長期で見ると状況は逆転する。ビットコインは1年間で45%下落、イーサリアムは49%安となった。イーサリアムは2025年の過去最高値から61%下に位置。ビットコインの現在価格も自身の最高値から49%下回る。

今の動きは1カ月の変化で、本格的なサイクル転換ではない。今週観測されたイーサリアムに関する3つの強気なシグナルと一致する程度にとどまる。

今後30日間で注目すべきポイント

フィッサー氏は1つの法律成立を見極める構え。CLARITY法案が成立すれば、どの米国規制当局が暗号資産を監督するか最終的に決定する。

トレーダーは成立に懐疑的。Polymarketは成立確率を約30%とし、上院には7つの課題が残る。

もう1つの焦点は金利。モルガン・スタンレーのエコノミスト、マイク・ゲイペン氏は12月までにインフレ率が約3.3%に鈍化すると見る。その場合、FRBは据え置く見通し。既に3名の高官は利上げを希望。

自社株買いも鍵。ゴールドマンは8月中旬までに米大手企業の90%が自社株買い再開可能と予想。

フィッサー氏が注目するのは法案成立と買い手出現。どちらが先に動くかが、決算発表以上の意味を持つ。

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