米財務省外国資産管理局(OFAC)は、ISISホラサン州、いわゆるISIS-Kに属すると特定された暗号資産ウォレットアドレス134件を制裁対象に指定した。ISIS-Kは2015年9月以降、特別指定国際テロリストに指定されている組織である。
これらのウォレットアドレスは水曜日、OFACの特別指定国民リスト(SDNリスト)に追加された。同リストには、テロ、麻薬取引、その他の違法行為に関与した個人、団体、そしてデジタル資産アドレスが掲載される。
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスが水曜日に公表したレポートによると、ステーブルコイン発行企業テザーは、トロン上の131件のアドレスに関連する残高を凍結した。残る3件の制裁対象アドレスは、匿名性の高い暗号資産として知られるモネロのネットワーク上にあった。
今回の動きは、暗号資産を利用するISIS支援の資金提供者に対する、OFACの前回制裁から1週間あまりで出てきたものだ。OFACは6月22日、欧州、中東、西アフリカにまたがる個人3名と6団体を制裁対象に指定していた。その中には、シリア拠点の資金移動業者であるビットコイン・エクスチェンジ、そしてトルコの資金移動業者スパイダーも含まれていた。
OFACは前回の制裁について、「ISISが地域関連組織の間で資金を移動させることを可能にしている主要な仲介者」を標的にしたものだと説明していた。
ISIS-K関連の131ウォレット、寄付で140万ドルを受領
チェイナリシスによれば、ISIS-Kはこれまで、複数のウェブサイトやメッセージングプラットフォームを通じて、暗号資産による寄付を募ってきた。
同レポートによると、今回の制裁対象となったトロン上の131アドレスは、2023年以降に暗号資産で140万ドル超、約2億2540万円の寄付を受け取っていた。また、送金額は88万ドル超、約1億4168万円にのぼった。
チェイナリシスは、同組織がトロン、モネロ、ビットコインネットワーク上で使用していた複数の寄付用アドレスを特定した。さらに、一部のウォレットがシリア拠点の暗号資産取引所へ資金を送っていたことなど、主流のサービスとの接点も相当程度確認されたという。
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違法行為を標的にした金融制裁において、ブロックチェーン分析ツールの存在感はますます大きくなっている。
今年4月には、ブロックチェーン・インテリジェンス企業TRMラボが、2024年と2025年にインドネシアでテロ資金供与に関与した3人の有罪判決を得るうえで、オンチェーン上の証拠が重要な役割を果たしたと述べていた。
TRMは声明でこう指摘している。
「インドネシアの裁判所は、ウォレットアドレス、取引履歴、オンチェーン上の資金の流れといった暗号資産の証拠が、単に証拠能力を持つだけでなく、テロ資金供与の訴追を支える中核になり得ることを示した」
暗号資産は、国境を越えて瞬時に資金を動かせる。その利便性は、合法的な金融インフラとしての可能性を広げる一方で、テロ組織の資金調達にも悪用されてきた。今回のOFACによる134件のウォレット制裁と、テザーによる131件の凍結は、暗号資産の世界がもはや「匿名で逃げ切れる場所」ではなくなりつつあることを示している。


