仮想通貨レンディングプロトコルのガイスト・ファイナンスが閉鎖　マルチチェーンの不正流出事件の余波

　　Tom Blackstone

　　2023年07月15日 10:49

　　仮想通貨レンディングプロトコルのガイスト・ファイナンスが閉鎖 マルチチェーンの不正流出事件の余波

　　仮想通貨レンディングプロトコルのガイスト・ファイナンスが、マルチチェーンの不正流出による損失のため、永久に閉鎖することを発表した。これは同社の開発チームが7月14日にソーシャルメディアで投稿したものだ。

　　ガイストでのコントラクトは7月6日に一時停止され、7月9日に「出金と返済のみ」のモードで再開された。最新の投稿では、チームがガイストでの貸出と借入を再開する計画はないことを確認している。

　　「マルチチェーンから資金の回収が不可能であることが確認されたため、ガイストが再開されることはないと発表します。チェーンリンクのオラクルは、実際のUSDC、USDT、WBTC、ETHの価値を追跡していますが、マルチチェーン資産の実際の価値を把握していません」とガイストのチームはツイートした。

　　ガイストはファントムネットワーク上で稼働するレンディングプロトコルで、マルチチェーンのハッキング前にはコントラクトに2900万ドル以上の仮想通貨がロックされていた。ハッキング前、ガイストはユーザーに対して、マルチチェーンプラットフォームからのブリッジトークンを借りたり、貸したり、または担保として使用することを許可していた。これには、USDコイン（USDC）、テザー（USDT）、ビットコイン（BTC）、イーサ（ETH）のブリッジバージョンが含まれていた。

　　ガイストはこれらの資産の価格を追跡し、その担保とローンの価値を決定するためにチェーンリンクのオラクルを使用していた。投稿によれば、これらのオラクルは信頼性のある情報を提供できなくなっている。現在、各コインの非ブリッジ化、あるいは「実際の」バージョンの価値をリスト化している。これらは、チームが説明するように、マルチチェーン派生品の4倍以上の価値がある。

　　「チェーンリンクのオラクルが実際のUSDC、USDT、WBTC、ETHの価値を追跡しているため、マルチチェーン資産の実際の価値を把握していません。これらの資産は現在、その実際の価値の約22％で取引されています」としている。

　　これにより、貸出を再開することは「不可能」になり、そうした場合、マジック・インターネット・マネー（MIM）やファントム（FTM）などの非マルチチェーンコインの保有者に対する不良債権が発生するとチームは述べている。

　　チームは、ガイストの閉鎖についてチェーンリンクのオラクルを非難していないことを明確にした。これらのオラクルは「適切に機能していた」。代わりに、「@MultichainOrg以外の誰も非難されるべきではありません」。

　　ブロックチェーン分析の専門家は7月7日にマルチチェーンの不正流出を報告した。1億ドル以上がマルチチェーンブリッジのイーサリアム側から引き出された。これにはドージチェーン、ファントム、ムーンリバーのものが含まれていた。マルチチェーンチームはこれらの取引を「異常事態」と呼び、ユーザーにプロトコルの使用を停止するよう警告した。しかし、チームはハッキングや不正流出と呼ぶのを避けた。

　　7月11日、オンチェーン分析を手掛けるツイッターユーザーのSpreek氏は、未知の個人がプロトコルから資金を引き出し、新しいウォレットアドレスに送金していると報告した。

　　7月14日、マルチチェーンチームは7月7日の出金がハッキングの結果であったことを確認した。ネットワークはすべての秘密鍵の断片をチームのCEOだけが管理する「クラウドサーバーアカウント」に保存していた。このCEOは中国警察に逮捕されたという。このクラウドサーバーアカウントは後に誰かにアクセスされ、プロトコルから資金を引き出すために使用された。チームは以前、プロトコルの文書で、単一のサーバーがキーのすべての断片にアクセスすることはないと述べていた。

　　7月14日の投稿によれば、7月11日の動きは、マルチチェーンチームの依頼によりCEOの妹が開始した不正流出対策だった。妹は後に警察に拘束され、彼女が回収した資産の状況は「不明」だという。