美図創設者らがテザーとUSDコインの覇権に挑むため　政府に香港ドル連動のステーブルコイン発行を求める

　　Turner Wright

　　2023年07月05日 08:15

　　美図創設者らがテザーとUSDコインの覇権に挑むため 政府に香港ドル連動のステーブルコイン発行を求める

　　仮想通貨とブロックチェーンの推進者たちが、香港政府に香港ドルに連動するステーブルコインを発行するよう呼びかける報告書をまとめた。テザーとUSDコインの優位性に挑戦するものだ。

　　中国の仮想通貨記者コリン・ウー氏による7月3日のレポートによると、4人の金融イノベーションに関わる人物たちが、デジタル経済におけるリーダーシップを支えるために、政府がHKDG（香港ドル政府）ステーブルコインを発行することを提案している。提案者は、香港科技大学の機関進歩部門の副会長である王揚氏、スマートフォンソフトウェア企業美図（メイトゥ）の創設者である蔡文勝氏、香港ブロックチェーン協会の名誉議長である雷志斌氏、そして博士課程の学生である温一舟氏だ。

　　報告書では、「香港ドルに連動するステーブルコインを発行することは、ブロックチェーンセクターにおける香港のリーダーシップを強化するだけでなく、デジタル香港ドルの進歩を推進し、取引の効率を高め、取引コストを削減し、現行の決済システムを改善し、香港のフィンテック能力をさらに強化する」と述べている。さらに、「香港ドルステーブルコインは香港の金融システムの効率性と包括性を向上させることができ、その安定性、交換の自由、高い安全性、開放性、そして国境を越えた流動性が、より広範な金融イノベーションを支えることができる」とも述べている。

　　王氏、蔡氏、雷氏、温氏は、政府が一般機関に香港ドルに連動するステーブルコインの発行を奨励する計画は、仮想通貨とブロックチェーンの推進を目指す意向に比べて「保守的すぎる」と主張した。報告書では、2023年3月時点での香港の外貨準備が約4300億ドルで、テザー（USDT）とUSDコイン（USDC）の時価総額の合計約1200億ドルを「大幅に上回る」と主張した。

　　「特にUSDTの信頼性が疑問視され、USDCが最近大幅なディスカウントを経験している中で、特別行政区政府が支えるHKDGは、より高い信頼性と低いリスクを持つだろう。」

　　報告書の著者たちが、HKDGの発行から得られる利点には、米ドルの優位性に挑戦すること、政府プロジェクトのための追加流動性の提供、そして当局がリスクを監視し評価することを容易にすることなどが挙げられた。一方で、報告書は潜在的なリスクも指摘している。それらは、法的および規制上の課題、不正資金に関連する可能性のある取引についての国際的な紛争、そしてハッキングだ。

　　「政府が発行するHKDGが負うリスクは、一般機関が発行する香港ドルステーブルコインのリスクよりも大幅に低い」と報告書は述べている。

　　6月に、香港政府はWeb3の開発を監督するタスクフォースを設立したと発表した。3月時点で、デジタル資産やブロックチェーンに関わる80以上の企業が、すでに香港に存在する約800のフィンテック企業に加えて、特別行政区に拠点を設けることを検討していると報じられている。