アジアにおけるWeb3開発が活発化　ゲーミングアプリが触媒に【コンセンシス幹部インタビュー】

　　Martin Young

　　2023年07月05日 14:05

　　アジアにおけるWeb3開発が活発化 ゲーミングアプリが触媒に

　　ーサリアムソフトウェアソリューションプロバイダーであるコンセンシス（ConsenSys）の幹部によれば、アカウント抽象化 ― 別名「スマートアカウント」が、最終的にアジア地域から10億人のユーザーをWeb3に誘致する可能性があるいう。

　　コンセンシスの戦略イニシアチブディレクターであるローラ・シー氏はコインテレグラフとのインタビューで、イーサリアムとWeb3エコシステムが今年アジアで強い拡大を見せていると指摘した。「多くのdAppsがアジア市場向けのUXを改善し、アジア言語のサポートを導入している」とシー氏は語った。

　　この拡大は主に、ゼロ知識イーサリアム仮想マシン（zkEVM）ロールアップの導入と、オプティミスティックロールアップの大量採用によって推進されているとシー氏は付け加えた。この2つのロールアップは、レイヤー2のスケーリングソリューションで、zkEVMは開発者にセキュリティ、スケーリング、そしてイーサリアムスマートコントラクトとの直接的な互換性を提供する。

　　シー氏は、アカウント抽象化の開発が進むことで、プログラマブルな機能が増え、通常の仮想通貨ウォレットよりも「銀行のような」機能が増えると考えており、これにより地域での採用が増えると考えている。「アカウント抽象化の開発は、APACの10億人規模のユーザーをWeb3に誘致するのを促進するだろう」とシー氏は語った。

　　アカウント抽象化は、ヴィタリク・ブテリン氏などの開発者によってEIP-4337で提案され、2021年9月に「コンセンサスレイヤーのプロトコル変更を完全に回避し、代わりに上位レイヤーのインフラに依存する」と述べた。

　　2022年のチェインアナリシスのグローバル仮想通貨採用指数によれば、世界で最も仮想通貨を採用している国のトップ2はアジアに位置している。それはベトナムとフィリピンだ。タイ、中国、インドはそれぞれの政府からのアンチ仮想通貨の風潮にもかかわらず、トップ10に入っている。

　　シー氏は、アジアでの大量採用は、ソーシャルゲーミングとWeb3ゲーミングによっても推進されていると考えており、韓国と中国を例に挙げている。「韓国のゲームパブリッシャーは、Web3 RPGゲームのパブリッシングに継続的に注力し、オンチェーン経済モデルの持続性を最適化しようとしている」とシー氏は語った。「一方、中国語圏の開発者エコシステムは、アカウント抽象化ソリューションを採用することで、Web2ユーザーをWeb3ゲーミングに誘致することに注力している」

　　これらのユースケースは、zkEVMロールアップとアカウント抽象化の開発に大きく依存するだろうとシー氏は付け加えた。「ユースケースの観点から見ると、Web3のソーシャルおよびゲーミングコンテンツが、今後数年で最大の潜在力を持つと見ている。これは、ガス料金の補助とソーシャルリカバリーを可能にするzkEVMロールアップソリューションとアカウント抽象化ソリューションによって支えられている」とシー氏は語った。

　　現在の米国業界の取り締まりが、アジアでのイーサリアムとWeb3エコシステムの成長を推進しているかどうかについて問われ、シー氏はそれとの相関性は見ていないと答えた。「これまで、これらと米国の規制動向との間に直接的な相関性を観察したことはない」とシー氏は語った。

　　アジアへのシフトは最近、米国の仮想通貨とWeb3企業が極東でより友好的な管轄区域を求めていることから、ホットイシューとなっている。しかし、アジアのイーサリアムエコシステムは、米国の仮想通貨戦争の触媒なしでも、自身でうまくやっているようだ。