仮想通貨業界「想像されるよりも悪くない」　中東やアジアではスタートアップ活況【アニモカ・ブランズCEOインタビュー】

　　Ana Paula Pereira

　　2023年07月01日 11:30

　　仮想通貨業界「想像されるよりも悪くない」 中東やアジアではスタートアップ活況【アニモカ・ブランズCEOインタビュー】

　　アニモカ・ブランズのヤット・シュウCEOによると、世界中の仮想通貨業界は均等な状態ではなく、Web3のスタートアップは中東やアジアで繁栄している一方、北米の仮想通貨起業家は厳しいマクロ経済や規制条件で課題に直面しているとのことだ。

　　カナダ・トロントで開かれたコリジョン・カンファレンスで、シュウ氏は世界中の仮想通貨ビジネスの環境における主な違いを強調し、それが「思っているほど悪いわけではない」とコインテレグラフに語った。

　　シュウ氏によると、Web3スタートアップはまだベンチャーキャピタルから資金を調達することができるが、世界中での金利上昇や仮想通貨価格の下落などの現状が、新規参入者に対するハードルを上げている。

　　「評価は明らかに下がっているが、業界に参入する開発者の数、デプロイされるスマートコントラクトの数、人々の数はまだ増えている。全体的に、我々は非常に強気だ」と彼は述べ、アニモカが過去数ヶ月でポートフォリオにほぼ60の投資を追加したことを付け加えた。

　　活発ながらも、この業界は以前ほど強力ではない。2023年第1四半期のピッチブラック・クリプト・レポートによれば、仮想通貨企業は353回の投資ラウンドで26億ドルを調達した。取引額は前四半期比で11％減少し、合計取引額は12.2％減少した。

　　2022年11月のFTXの劇的な崩壊以降、仮想通貨業界に影響を及ぼす様々なイベントが発生している。たとえば、米国では、米証券取引委員会（SEC）が仮想通貨企業に対する取り締まりを開始し、執行行動を通じて業界を規制しようとしている。

　　一方、香港はデジタル資産市場に関連するリスクを軽減するために、仮想通貨ビジネスのためのライセンス制度を導入した。イギリスも同様のアプローチをとり、規制当局が仮想通貨ビジネスのための規制を導入し、執行する権限を与える法律を承認したばかりだ。

　　「（仮想通貨のベンチャーキャピタルについて）北米の視点から考えていると、悪い状況に聞こえるかもしれない。しかし、中東やアジアに行くと、実際にはとても活気に満ちている」とシュウ氏は指摘する。彼によると、規制面はWeb3企業にとって「ハンマー」であり、「何が起こっているのかわからないから恐怖が生じている」と彼は続ける。

　　ベテランの仮想通貨起業家であるシュウ氏は、国が業界に対して異なるアプローチをとることは偶然ではないと考えている。シュウ氏にとって、アジア諸国での好ましい環境と米国での敵対的な動きは、新興技術に対する各国のアジェンダの一部だ。

　　「Web3をナラティブとして推進することは、自己主権的アイデンティティのためのエンドユーザーの利益を超えて国家利益にも関わる。そして、米国は全ての人々に恩恵を与えている。残念ながら、私は米国がこの問題で重要であると考えているが、政治的な理由から、彼らは世界の他の場所に役割を持つようにしている。しかし、エキサイティングな面は、これまでにないエコシステムが繁栄することを可能にすることだ」と彼は述べている。