破綻した仮想通貨ヘッジファンド3AC　清算人は創業者から13億ドルの回収を試みる

　　Turner Wright

　　2023年06月28日 15:45

　　破綻した仮想通貨ヘッジファンド3AC 清算人は創業者から13億ドルの回収を試みる

　　破産した仮想通貨ヘッジファンド「スリーアローズキャピタル（3AC）」の清算人であるテネオ（Teneo）が、創業者のスー・チュー氏とカイル・デイビス氏から約13億ドル（1870億円）の資金回収を試みている

　　ブルームバーグの6月27日の報道によれば、清算人であるテネオは、チュー氏とデイビス氏が3ACがすでに破綻している時点で13億ドルの負債を抱え、債権者の損失を増やしたと主張している。3ACは債権者に対して約35億ドルの負債をかかえており、創業者の負担可能な責任は総債務の3分の1以上となる。テネオの広報担当者は、3ACの創業者から13億ドルを請求する目的は、6月27日の債権者向けの説明会を「概ね反映している」とコインテレグラフに語った。記事執筆時点では、この情報を含む裁判所の文書は確認できなかった。

　　この報道は、ちょうど1年前の2022年6月27日に、英領バージン諸島の裁判所が3ACに清算命令を出してからちょうど1年目にあたる。2022年7月には、同社はニューヨーク南部地区の米国破産裁判所で破産申請も行っている。デイビス氏とチュー氏は破産申請後もソーシャルメディアで活動を続けているが、彼らがどこにいるかはわかっていない。

　　6月には、この2人が破産した仮想通貨エンティティに対する債権の取引を行うプラットフォームOPNXの立ち上げを支援した。「3ACは死んだ、3ACベンチャーズ万歳」とデイビス氏はツイッターで書いている。

　　米国の清算人の弁護士たちは、破産手続き中にデイビス氏とチュー氏が裁判所で審理に参加するよう求めてきた。3ACの創業者二人にはデジタル召喚状が発行されたが、それは無視されている。清算人側の弁護士は「繰り返し義務を無視している」としてデイビス氏らを法定侮辱罪で訴えようともした。

　　3AC創業者の元資産には、サザビーズを通じてオークションにかけられているデジタルアートのコレクションが含まれている。そのコレクションの一部であるドミトリ・チェルニャクの作品「ザ・グース」は、6月に620万ドルで売却された。