収益が縮小する中でマイナーがBTCを売却＝オンチェーンデータ

　　ビットコインのオンチェーンデータから、ビットコインのマイナーが保有コインを売却していることが明らかになっている。売り圧力に影響を与える要因として、オーディナルズの活動の低下による収益減少や、マイニング難易度とハッシュレートが過去最高を更新していることが挙げられる。

　　オンチェーン分析会社のグラスノードによると、「マイナーは取引所に大量のコインを送金している」という。

　　グラスノードのデータによると、ビットコイン（BTC）マイナーが取引所に送金する資金が6月3日に3年ぶりの高水準に達し、2021年初頭の強気相場時に見られた水準に戻ったという。

　　Across the past week, #Bitcoin Miners have been sending a significant amount of coins to Exchanges, with the largest inflow equal to $70.8M.

　　This is the 3rd largest inflow on record, -$30.2M less than the peak inflow of $101M recorded during the primary bull market of 2021.

　　— glassnode (@glassnode) June 11, 2023

　　コインメトリクスのデータによると、マイニングプールからコインを受け取るアドレスに保管されているビットコインの量を測定するマイナーのワンホップサプライ指標も減少している。

　　この指標は2023年5月以降、マイナーの保有量が一貫して上昇していたが、6月の第2週に蓄積トレンドが逆転したという

　　マイニング難易度の上昇とオーディナル活動の低下

　　ビットコインのマイニング難易度は、ビットコインのブロックチェーンネットワークで新しいブロックを見つける難しさを示す指標であり、6月初めに過去最高を記録した。

　　ビットコインの難易度は定期的に調整され、新しいブロックが平均して約10分ごとにブロックチェーンに追加されるようになっている。ネットワークの計算能力が増加すると、マイニングが難しくなるように再調整され、計算能力が低下する際には難易度が易しくなる。

　　難易度は、おおよそ2週間ごとに2,016ブロックごとに調整され、ネットワークの総計算能力、すなわちハッシュレートに基づいている。前回の調整は5月31日に行われ、難易度は3.39%増加した。

　　ビットコインのマイニング難易度が上昇することで、マイナーの収益が減少し、利益が減少し、損失が増加する可能性がある。また、前回の難易度調整以降、マイナー間の競争が激化し、ネットワークのハッシュレートが6月11日に過去最高の381エクサハッシュ毎秒に達した。今週予定されている次回の難易度調整により、売り圧力がさらに増す可能性がある。

　　ビットコインオーディナルズの活動は、マイナーの収益を増加させる要因であったが、5月に低下し、マイナーの収益が減少した。ビットコインでのオーディナルズ登録のために支払われる手数料の合計額が2か月ぶりの低水準になり、NFT市場での取引量も同様の傾向を示している。

　　グラスノードのデータによると、マイナーの7日移動平均収益は、5月の3,390万ドルの高水準から6月初めには2,580万ドルに減少した。

　　6月はまた、北半球での高温がマイニングファームに大きな負担をかける夏の始まりでもある。

　　2022年の猛暑は、テキサス州のマイナーが一時的に運用を停止する原因となった。報道によると、テキサス州は米国のマイニング能力の約15%を占めている。2023年の熱波はさらに悪化し、ネットワークのマイニングハッシュレートが低下する可能性がある。

　　マイナーのストレスレベル

　　現在、既存のマイニングハードウェアでビットコインを生産するコストは、35,532ドルから21,244ドルの間にある。ビットコインの価格が25,000ドルを上回っているため、ビットコインのマイニングハッシュレートの下降トレンドは限定的である可能性がある。

　　しかし、夏の間に状況が悪化し、マイニングコストが増加し、BTC価格がそれに見合った上昇がない場合、業界は売り急ぎとネットワークのハッシュレート低下を示す崩壊モードに戻る可能性がある。

　　Bitcoin price chart with production cost indicator. Source: TradingView

　　また、ビットコインのハッシュレートが上昇し続けている一方で、ビットコインのハッシュ価格指標（ハッシュパワーの単位あたりに割り当てられる市場価値）は5月に大幅に低下し、マイニングハードウェアへの需要の冷え込みを示唆している。

　　ハッシュレートインデックスのアップデートによると、「ハッシュ価格[PH]は、5月に1PHあたり82.23ドルの平均を記録した後、3月中旬以来初めて1PHあたり70.00ドルを下回った」という。

　　売りがどこまで続くのか、そしてその間にビットコインオーディナルズの活動が回復するかどうかは未だ不透明である。