ビットコイン市場はまだ底を打っていないのか？ バイナンス訴訟がBTC強気派を揺るがす

　　ビットコインの価格は、米証券取引委員会（SEC）が連邦証券法違反でバイナンスに対して訴訟を起した6月5日の1時間で5％下落した。ビットコインの25,500ドルのサポートは保たれているものの、投資家たちはまだ規制措置の潜在的な影響を消化中だ。

　　デジタル資産投資会社アルカのジェフ・ドーマンCEOによれば、最終的にバイナンスが米国での業務を停止した場合の直接的な影響はほとんどない。さらに過去の不正行為に対する告発は実際には重要ではないと言う。しかしドーマンCEOは、仮想通貨コミュニティがバイナンスのジャオ・チャンポンCEO（通称CZ）とバイナンスを支持する中で、市場のネガティブなセンチメントが優勢になる可能性があると指摘している。

　　バイナンスだけが切迫した問題ではない

　　たとえSECによるバイナンスに対する訴訟が中期的にほとんど影響しないとしても、1月19日に連邦破産法11条を申請したジタル・カレンシー・グループ（DCG）とその子会社ジェネシス・キャピタルによるさらなる不確実性もある。

　　データ・フィノヴェーションのジョン・ライターCEOによれば、DCGのバリー・シルバートCEOが、仮想通貨ヘッジファンドのスリーアローズキャピタルが債務不履行に陥ったときに、自身の個人保有資産から10億ドルを引き出した。これは偶然だったかもしれないが、DCG内部の会社間の融資や取引にさらに注目が集まっていることは確かだ。

　　トレーダーたちは今、ビットコイン（BTC）が3月17日以来破られていない25,000ドルのサポートを試すかどうかを注視している。米国の債務上限危機が回避されたことを考慮に入れると、短期間でのビットコイン価格の急騰の可能性はさらに低くなっているようだ。

　　投資家は、ビットコイン先物契約のプレミアムがマイナスに転じたり、BTCオプションを使用したヘッジのコストが上昇する場合に特に注意を払うべきだ。

　　ビットコインのデリバティブ市場は強弱混合

　　ビットコインの四半期先物は、クジラやアービトラージのデスクの間で人気がある。しかし、これらの固定月契約は通常、スポット市場に対してわずかなプレミアムで取引され、これは売り手が決済を遅らせるためにもっとお金を求めていることを示している。

　　その結果、健全な市場ではBTC先物契約は年率化で5から10％のプレミアムで取引される。これはコンタンゴという状況で、これは仮想通貨市場に特有のものではない。

　　ビットコインのトレーダーたちは6月1日以来、先物のプレミアムが4％未満に留まっていたため、かなり慎重だったことがわかる。一方で、この指標は、6月5日にバイナンスに対するSECの告発が明らかになった後に3.5％になった。

　　トレーダーたちはまた、最近の調整が投資家たちをより楽観的にさせたのかどうかを理解するために、オプション市場を分析するべきだ。25％デルタスキューは、アービトラージデスクやマーケットメーカーがアップサイドやダウンサイド保護のために過大請求するときの明確な兆候だ。

　　これは、トレーダーがビットコイン価格の下落を予期すると、スキュー指標は7％以上に上昇し、上昇フェーズは通常、マイナス7％のスキューを持つ。

　　上に表示されているように、BTCオプションの25％デルタスキューによれば、トレーダーたちは突然弱気に転じ、指標は6月5日に11％に急上昇した。このレベルは3ヶ月間で最高であり、プロのトレーダーからの不快感を示している。

　　FUD優勢なら弱気トレンドが続く

　　要するに、ビットコインのオプションと先物市場は、4月14日の失敗した31,000ドル突破の試みの後に始まった弱気トレンドが依然として続いていることを示唆している。全体的な市場の構造に大きな落ち込みはなかったものの、まだSECの行動の潜在的な影響を解釈するのは早すぎるかもしれないし、裁判所の判断は数ヶ月、場合によっては数年かかる。

　　投資家たちが不確実性を嫌うことから、ビットコインの強気相場を予想していた人々はその期待を調整するべきだろう。

　　DCG-ジェネシスの状況や、厳しい米国の規制環境の中でのバイナンスの運用能力について、もっと明確な情報が得られるまでは、極めて重要な25,000ドルのサポートを守るインセンティブは薄れるはずだ。

　　翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

　　本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自分でリサーチを行って決定してください。