仮想通貨のAI関連銘柄のリターン、ChatGPTローンチ後に41%上昇＝調査

　　独ハンブルクのブロックチェーン研究所の研究者による新たな調査結果は、OpenAIによるChatGPTのローンチがAI関連の仮想通貨の浮き沈みを象徴する事象であったことを示唆している。

　　2022年11月に始動したChatGPTは、わずか5日間で日々のユーザー数が100万人を突破し、歴史的なスピードでの成長を遂げた。2023年1月には月間利用者数が1億人を突破した。2023年6月現在での正確な月間利用者数は不明だが、一部の報告ではその数は10億に達している可能性が示されている。

　　このアプリの人気はAIに関連する全てのもの、そして例外なく仮想通貨にも波及した。研究者は以下のように説明した。

　　「ChatGPTのローンチは、仮想通貨市場全体が弱気であり、投資家のリスク選好が低いにも関わらず、AI関連の仮想通貨資産のパフォーマンスに大きな影響を与えた。ローンチ後1ヶ月（2ヶ月）での平均価格上昇は少なくとも10.7%（35.5%）であった」

　　The performance of AI and non-AI cryptocurrencies. Source: Saggu and Ante, 2023:

　　1ヶ月および2ヶ月の期間にわたる価格上昇の底値はそれぞれ10.7%、35.5%だったが、上限はそれぞれ15.6%、41.3%に達した。

　　調査は、メディアやマーケティングのハイプ、そして一般大衆のセンチメントが価格上昇の要因であると指摘し、「投資家はローンチ後、AI関連の仮想通貨が高い潜在性や価値を持っていると感じた」と結論づけている。

　　調査によると、これらの要素が機関投資家が大手テクノロジー企業のAIプロジェクトへの資金移動を促し、その結果個人投資家がAI分野と直接または間接的に関連する仮想通貨に投資する動きを見せた可能性がある。

　　研究者はまた、ChatGPTが教育ツールとしての能力を持ち、個人投資家が複雑で技術的な概念を理解し、より情報に基づいた投資判断を可能にする「情報拡散効果」を仮想通貨市場内に醸成した可能性があると推測している。

　　AIと関係のない仮想通貨は同時期に横ばいの傾向を維持し、2022年第2四半期に始まったスランプを打ち破ることはなかった。2023年6月時点でも市場のセンチメントは低いままで、「crypto」のGoogle検索回数が2020年以来最低レベルにまで落ち込んでいる。