あの雇用統計でビットコインが買われた理由と今後の展開【仮想通貨相場】

　　Cointelegraph Japan

　　2023年06月05日 11:39

　　あの雇用統計でビットコインが買われた理由と今後の展開【仮想通貨相場】

　　著者 松田康生（まつだやすお）楽天ウォレットシニアアナリスト

　　東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。

　　ポイント

　　・27,000ドル台を挟んでのもみ合い

　　・米雇用統計はNFP強く、失業率弱く、平均時給は予想通り

　　・NFP強く米金利上昇もインフレ抑制で米株上昇、ドル高で円建てBTC価格上昇

　　・市場の利上げ見送り観測は継続

　　週末のBTC相場

　　週末のBTC相場はもみ合い推移。

　　引き続き27,000ドル（約375万円）を挟んでのもみ合い圏ながら、若干レンジを戻してきており、底堅さを見せている。

　　先週、ブラックアウト期間直前にジェファーソンFRB理事・ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁と相次いでハト派な発言が続き6月FOMCでの利上げ見送り観測が強まり、また債務上限引上げ法案の下院通過とリスクオンイベントが続いた割にBTCは上昇しきれずにいると、逆に26,000ドル台半ばに失速した。

　　しかし、今年投票権のあるハーカー総裁がだめ押し気味に6月利上げ見送りに言及したこともあり、同水準で切り返すと27,000ドル近辺に値を戻した。

　　注目の米雇用統計は非農業部門雇用者数（NFP）が33.9万人と予想19.5万人を大幅に上回ったが、失業率が3.7％と予想3.5％を上回り、注目の平均時給は前月比0.3％と予想通りで前月の0.5％から鈍化を見せた。

　　こように強弱入り交じる内容に各市場はまちまちな反応を見せた。まず長期金利はNFPを受け素直に上昇、ドル高円安となった。一方、米株市場は平均時給の鈍化に着目し、景気減速を避けつつインフレが鈍化するバラ色のシナリオから上昇した。BTCは当初金利上昇でやや値を下げたが、米株の上昇で切り返し、またドル高の影響で円建て価格は上昇した。

　　その後、デフォルトは回避されたとバイデン大統領が宣言するも市場の反応は限定的。週末はLTCやソラナ、XRPなどアルトコインが比較的堅調に推移した一方、OPECプラスでの減産継続合意およびサウジの追加減産によるインフレ懸念が上値を押さえる展開となった。