機関投資家が仮想通貨から遠ざかっている　市場は買い手不足で「勢いがない」＝ノボグラッツ氏

　　Tom Mitchelhill

　　2023年06月02日 21:00

　　機関投資家が仮想通貨から遠ざかっている 市場は買い手不足で「勢いがない」＝ノボグラッツ氏

　　ギャラクシーデジタルのCEOであるマイク・ノボグラッツ氏は、仮想通貨市場が「元気がない」と表現し、これは主に機関投資家が仮想通貨から遠ざかっているためだという。

　　6月1日のCNBCとのインタビューで、ノボグラッツ氏は、比較的小規模な個人投資家が市場に一定の安定性をもたらしているものの、大規模な買い手が不足していることが懸念材料になっていると語った。

　　「個人投資家からは常に需要がある。私たちはすべてのプラットフォームを通じてそれを見ているが、今のところ機関投資家からの関心はほとんどない」

　　この主張は、5月31日のコインシェアのリサーチ責任者ジェームズ・バターフィル氏の指摘と一致している。バターフィル氏によると、先週時点でデジタル資産の機関投資家による購入は、6週連続で資金流出を記録している。

　　しかし、ノボグラッツ氏はアジアでの2つの重要な出来事を指摘し、これらが市場の流れを変える可能性があると述べている。まず、中国のソーシャルメディアアプリ「ウィーチャット」がビットコイン(BTC)の価格をアプリで表示するようになったことを挙げた。彼は、ウィーチャットの人気を考慮すると、これは画期的な出来事だと考えている。現時点でウィーチャットは、Statistaによると月間アクティブユーザーが13億人いる。

　　Wechat is available for #Bitcoin search and only Bitcoin. A small but big step of China/HK embracing crypto pic.twitter.com/DHq4uqnq5C

　　— Qinwen Wang (@Qinwen_Wang) June 1, 2023

　　「ウィーチャットでビットコインの検索が可能になり、ビットコインだけが表示される。中国・香港が仮想通貨を受け入れる小さな一歩だが、大きな意味がある」とウィンウェン・ワン氏はツイッターで語っている。

　　次に、香港が正式に個人投資家に対して仮想通貨取引所での取引を許可し始めたことをノボグラッツ氏は指摘した。これはアジアでの採用が進んでいる兆候である。

　　コインテレグラフとのインタビューで、オーストラリアの仮想通貨取引所Swyftxのプロダクト戦略責任者トミー・ホーナン氏は、仮想通貨市場がここ1ヶ月間で「勢いを失っている」と語った。

　　「機関投資家の活動レベルは確かに低調だ。しかし、それは機関投資家だけではなく、個人投資家も生活費の圧力によって打撃を受けている」とホーナン氏は語った。米国の規制環境がますます厳しくなる中、仮想通貨企業は対応に苦慮しているが、ホーナン氏は大手企業が市場に戻る際には価格が強力に回復すると予想している。

　　「機関投資家は市場に戻ってくるだろうし、戻ってくるときは強力に戻ってくる。ただ、米国では2つのことのうちどちらか1つが起こるまでそれが起こらないだろう」と彼は語った。「仮想通貨に対して確定的で合理的なルールが整うか、共和党が来年の米国の選挙で勝利するかだ。仮想通貨は一夜にして非常に政治的な問題になってしまったが、これは業界が望んでいたことでも必要だったことでもない」。

　　ノボグラッツ氏と同様に、ホーナン氏は香港が仮想通貨市場にとって独自の機会を提供していると述べ、新たな投資家の波を市場に解き放つだけでなく、必要に応じて米国の企業が拠点を置く場所を提供しているとしている。

　　「香港での動向を非常に注視している。香港が中国本土の仮想通貨の安全な採用を試す場として使われているのであれば、市場にとって大きな追い風となるだろう」とホーナン氏は語った。「私たちは次の強気市場のトリガーとなるものを西を見て探していた。しかし、東を見るべきだったのかもしれない」。

　　香港が仮想通貨関連のビジネスを開始したことで、多くの企業が現在ライセンスを取得しようと競い合っている。