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DAOの未来:分散型自律組織でいかに投資家保護を強化するか【専門家寄稿】

 DAOの未来:分散型自律組織でいかに投資家保護を強化するか【専門家寄稿】 WikiBit 2023-04-14 09:00

分散型金融(DeFi)エコシステムが規模と影響力を拡大する中、DeFiプロトコルを最適にガバナンスする方法が焦点となっている。仮想通貨界隈では、分散型自律組織(DAO)が圧倒的に人気のあるガバナンス構造だ。

  Alex ODonnell

  2023年04月14日 18:00

  DAOの未来:分散型自律組織でいかに投資家保護を強化するか

  分散型金融(DeFi)エコシステムが規模と影響力を拡大する中、DeFiプロトコルを最適にガバナンスする方法が焦点となっている。仮想通貨界隈では、分散型自律組織(DAO)が圧倒的に人気のあるガバナンス構造だ。

  DAOは、投資家-管理者の利害調整から規制リスクに至るまで、すべてを一度に解決するものとして持ち上げられることもある。しかし、内部の争いや規制当局の取り締まりが示すように、DAOのガバナンスは万能薬ではない。

  ブロックチェーン技術、特にトラストレスなスマートコントラクトや分散型台帳は、中央集権的な仲介者が少ない透明性の高い金融システムを構築する機会を提供している。しかし、これらのテクノロジーはまだ初期段階にある。これらのテクノロジーは、従来の法的構造を置き換えるのではなく、補完するために使用されるべきだ。

  投資家を保護する観点からすれば、従来型の法人組織や投資家保護規制に代わるものは存在しない。

  現行DAOモデルの問題点

  DAOは分散型で自律的であると称しているが、その大部分は従来のテック系スタートアップとほぼ同じであり、創設者や投資家、製品のロードマップ、市場投入戦略が存在する。

  DAOと従来型のビジネスとの主な違いは、DAOのほとんどは確立された法的枠組みの中で運営されていないことだ。多くのDAOは事実上、法人されていない組織となっている。残りのDAOは、比較的風変りな未検証の法的構造を選択することが多く、利害関係者に法的権利を付与していない(あったとしても極めて小さいものだ)。

  これは、投資家やユーザーにとって悪いニュースだ。何か問題が発生した場合にはほとんど、あるいはまったく救済策がないことを意味する。これは規制当局にとっても問題であり、DAOは重要な規制上の問題に直面している。DAOトークン、財務、投資への課税、アンチマネーロンダリング(AML)規則の実施、テロ資金供与対策(CFT)、所有権、統制、アカウンタビリティといった広範な領域に問題が存在する。

  最近、DAOの意思決定を巡っては法的な観点から注目を集めている(投資家にとって懸念のある結果をもたらすものとして懸念されている)。米国で最近行われたbZx DAOとOoki DAOが関係する2つの裁判では、DAOのガバナンスメンバーであるトークン保有者自身が、DeFiプロトコルのコアチームによる法令違反や過失に対して個人的に責任を負う可能性があるという立場を取った。

  業界として、DeFiはユーザーやトークン保有者の権利を守るため、より良い仕事をしなければならない。世界中、そして米国内には、投資家に重要な保護を提供し、DeFiプロトコルにかなりの柔軟性を与える多くの規制上の方法が存在する。

  DAOが持つポテンシャル

  現行のDAOガバナンスモデルに欠陥があるものの、基盤となるテクノロジーは依然として非常に大きな可能性を秘めている。実際、分散型ブロックチェーン技術は、従来の投資家保護規制を強力に補完することができる。

  たとえば、トラストレスなスマートコントラクトやセルフカスタディ型の「レシート」トークンは、資産管理者による管理ミスや不正行為を事実上不可能にする可能性がある。同様に、分散型オラクルは、投資家がいつでもバイアスのない最新のデータにアクセスできるようにし、詐欺の余地を大幅に縮小する。

  同時に、ゼロ知識証明などのブロックチェーン技術は、DeFiアプリケーションの規制遵守負担を軽減し、ユーザーのプライバシーと匿名性を保護するのにもつながる。独自の暗号化証明を使用することで、ユーザーはアプリ内での本人確認(KYC)やAMLチェックをほぼ瞬時に完了し、個人情報を一切開示せずにこれらの手続きを行うことができる。

  オンチェーンガバナンスは価値を高める参加を可能にし、投資家の決議が真に拘束力を持つことを保証できる。この技術が最大限の潜在能力を発揮できない唯一の要因は法的コンプライアンスの欠如だ。

  ハイブリッドモデルが機能する

  ほとんどの新興テクノロジーと同様に、現在、DAO規制に関する監督が不十分となっている。ただし、ブロックチェーンとDAOの新規性は、規制順守の必要性を損なわない。むしろ、それを高めることになるだろう。

  DeFiでの積極的な法的コンプライアンスの必要性はこれまで以上に喫緊の課題となっている。規制機関は、DAOに対する取り締まりをより一層強化しようとしている。最近の例として、米証券取引委員会(SEC)がSushi DAOに対して召喚状を出したケースがある。SECは、適切な登録がないまま証券とみなされるトークンを売却するなど、証券法違反の可能性について調査した。

  DeFiプロトコルは、DAOモデルを再考する必要があるだろう。証券のようなガバナンストークンを持つプロトコルにとって、最良の選択肢は、DAO構造を完全に放棄することかもしれない。米国では、プライベートファンドなどの既存の法人組織が、プロトコルに柔軟性を提供し、トークン保有者の法的保護を明確化し、強化する可能性があるだろう。

  同様に、DeFiプロトコルは、フルタイムのコアチームを登録済みの合同会社(LLC)や、米国外の管轄区域での同等の法人組織にすることを検討すべきだ。法人構造は、チームメンバーを個人的な責任から保護し、効果的で効率的な組織を構築する上で重要となるだろう。

  DAOは、Web3とメインストリームのビジネスの両方で大きな変化をもたらす可能性がある。解決策は、分散型と伝統的な金融を対立するものとしてではなく、両者の強みを統合することだ。

  アレックス・オドネル氏は、Umami Labsの創設者兼CEOであり、Umami DAOへの初期貢献者として活動していた。Umami Labsに参加する前は、7年間ロイターで金融ジャーナリストとして働き、M&AやIPOを取材していた

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