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徹底解説!イスラム法と仮想通貨 : ムスリム世界の新しい金融フロンティアになるか?

 徹底解説!イスラム法と仮想通貨 :  ムスリム世界の新しい金融フロンティアになるか? WikiBit 2023-04-08 23:00

イスラム金融は、シャリーア(イスラム法)の原則に基づくシステムでだ。イスラム金融は様々な特徴があるが、ローンに対する利息の請求または支払いを禁止し、倫理的かつ公平な金融取引を重視している。

  

  イスラム金融は、シャリーア(イスラム法)の原則に基づくシステムでだ。イスラム金融は様々な特徴があるが、ローンに対する利息の請求または支払いを禁止し、倫理的かつ公平な金融取引を重視している。

  イスラム金融の特徴の1つは、ローンに対する利息の請求または支払いを禁止していることだ(通常ローンや金利というのは銀行業の基本なのだが)。

  その代わり、イスラム金融は、貸し手と借り手の間で利益と損失を共有する合意に基づいている。貸し手は借り手と投資リスクを共有し、両者は利益または損失を共有することになる。

  シャリーアは、株式、債券、仮想通貨などの無形資産への投資を許可している。シャリーア準拠の資産は、実際の有用性がある限り、物理的なモノで裏付ける必要はない。さらに、シャリーアは、社会に害を及ぼさない事業やプロジェクトへの投資のみを許可する(したがって、ギャンブル、アルコール、タバコは認められない)。

  透明性はイスラム金融にとって不可欠な要素であり、すべての金融取引は関係者全員に開示されなければならない。イスラム金融はまた、シャリーア委員会によって監督されており、これはイスラム法の原則に従ってすべての金融取引が準拠していることを確認するイスラム法学者で構成されている。

  イスラム金融は、ムダラバ、ムシャラカ、ムラバハ、イジャラ、スクークなど、さまざまな商品とサービスを提供している。

  シャリーア準拠の仮想通貨を作るプロセス

  シャリーア(イスラム法)に準拠する仮想通貨を開発するために、イスラム法学者や金融専門家、開発者らのチームが集まり、仮想通貨の設計や機能を決定することになる。

  このチームは、コインが利子に基づく貸出しではなく、利益と損失の共有システムに基づいていることを確認する。つまり、投資家が事業の利益と損失を共有し、投資に対する固定利益ではなく、投資のリターンを受け取ることを意味する。

  仮想通貨が発行の準備ができたら、シャリーア監督委員会がコインを審査し、認証しなければならない。その認証を得れば、ムスリム投資家がそれを使い始めることができる。この認証プロセスは、仮想通貨の機能と設計の詳細な審査を含むものになる。

  シャリーア準拠のデジタル資産の一例として、Haqq Networkブロックチェーン上に構築されたIslamic Coin(ISLM)がある。2022年6月、Islamic Coinはシャリーア準拠であることがファトワ(イスラム法学に基づく布告)で認定された。

  多くの仮想通貨と同様に、デフレーションモデルに従い、新しいコインが気まぐれで作成されることを防止している。さらに、新しいISLMがネットワーク上で発行されるたびに、10%がイスラムの慈善団体やオンラインプロジェクトに投資する分散型自律組織であるEvergreen DAOに送られる。慈善団体への資金提供は、イスラム教の柱であるザカートに従っている。

  シャリーア準拠には適切な設計が重要に

  シャリーア準拠の仮想通貨は、デジタル通貨の比較的新しい発展であり、進化している。

  イスラム金融の原則に準拠するように設計されているものの、論争がないわけではなく、仮想通貨が本当にシャリーアと互換性があるかどうかについて、イスラム法学者の間で議論が続いている。Haqq Networkの共同創設者であるアンドレイ・クズネツォフ氏は、コインテレグラフに次のように語っている。

  「シャリーアをと調和するビットコイン環境を開発するのも難しい。これには、金融機関、国家、および他の当事者との提携を結び、コインが広く認識され、イスラム理念に従って使用できるようにすることが含まれる」

  イスラム金融学者の観点からの懸念の1つは、仮想通貨が投機的な投資となる問題であり、「ガラール」(「不確実性、危険、リスク」または「存在しないものの売買」)を含むため、許可されていない。

  Islamic Coinの共同創設者であるモハメッド・アルカフ・アルハシミ氏は、「シャリーアはリターンを生み出す努力ではなく、偶然性や投機に依存する取引を禁止し、無効として扱う」とコインテレグラフに説明する。

  ただし、「この原則は、商業上の投機やビジネス取引をすべて禁止するものではなく、シャリーア法は、技術変化を採用する上で、十分にスマートで柔軟である」と彼は付け加えている。

  アルハシミ氏によれば、仮想通貨は、「純粋な取引や投機のためではなく、例えば実際の有用性を持つこと」など「適切な意図で開発された場合」、イスラム法に遵守できる。

  そのため、あるコインがハラール(許容される)と見なされるかどうかは、設計の問題となると、クズネツォフ氏は言う。「仮想通貨の使用法とアーキテクチャは、それがシャリーア法に遵守しているかどうかを決定する要因になる」と彼は説明する。

  同氏は、決済や価値保管といった仮想通貨のユースケースを挙げ、これらはシャリーア準拠と見なされやすいと説明する。

  例えば、ステーブルコインは、イスラム金融の原則である資産に基づく融資の形態と見なすことができる。USDコイン(USDC)やテザー(USDT)のようなステーブルコインは、実際の資産によって裏付けられている。金を裏付け資産として発行されるOneGramのような、特別にイスラム金融のために作成された仮想通貨も存在している。

  クズネツォフ氏は、「シャリーア準拠のコインを作成し、採用する際にはハードルがあるが、適切な教育、立法、技術的創造力を組み合わせることで、これらの課題を克服できる」と結論付けている。

  仮想通貨へのアクセスを拡大する

  シャリーア準拠の仮想通貨の利点は、イスラム教が主要な宗教である国々からのさらなる新しいユーザーを惹きつける可能性があることだ。これは、ムスリム投資家が仮想通貨に関して持つ懸念を軽減できるからだ。

  「シャリーア法に準拠した仮想通貨の利点の1つは、ムスリムの金融サービスへのアクセスを増やすことだ。さらに、シャリーア準拠の仮想通貨は、従来の銀行業務へのアクセスが拒否されたムスリムに対して、彼らの宗教的見解に従った金融取引のメカニズムを提供することができる」とアルハシミ氏は話す。

  「イスラム銀行への資本投資が増えることも、好ましい結果となるかもしれない。仮想通貨がシャリーア法と互換性を持つように作られる限り、宗教的原則を尊重する投資を求めるムスリムを引き付けることができるでだろう。このため、イスラム金融業界の発展と拡大が促進され、経済全体にとって良いことになる」という。

  金融界が進化し、新しい技術が登場する中で、ムスリム投資家は、これらの新しい開発がイスラム金融の原則とどのように適合するかを慎重に検討し、このシステムの倫理的および社会的目標に沿っていることを確認することが重要になるだろう。

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