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まだ続落への警戒を解いてはいけないビットコイン~衝撃が走ったCPI~【仮想通貨相場】

 まだ続落への警戒を解いてはいけないビットコイン~衝撃が走ったCPI~【仮想通貨相場】 WikiBit 2022-09-15 08:00

前回の記事では米国のインフレが高止まりする可能性が高いという点を指摘し、見事的中させたトシムリン氏が今後のビットコインの相場展望について寄稿した。

  Cointelegraph Japan 2022年09月15日 17:00 まだ続落への警戒を解いてはいけないビットコイン~衝撃が走ったCPI~【仮想通貨相場】 75 閲覧数 1 シェア数

  市場分析

  前回の記事では米国のインフレが高止まりする可能性が高いという点を指摘し、見事的中させたトシムリン氏が今後のビットコインの相場展望について寄稿した。

  前回の記事では以下の予測をした。

  「市場参加者は『景気後退になるかは不明だが、過去の景気後退期以外での平均下落率の約−25%に到達したため、とりあえず買い戻ししておこう』と考えているのだろう。一部では『底打ち』との考えを示す投資家もいるだろう。インフレ統計も頭打ちを見せているため、確かにFRBがタカ派姿勢を緩めてうまく市場をコントロールし、景気後退を避けることができればS&P500も3500~3680ドルで底打ちする可能性は高いため、『妥当な買い場』だという考えも決して間違いではないだろう。しかし、筆者は今後も米国はインフレに苦しめられ、FRBは非常に困難な舵取りが続くと考えているため、S&P500が3,500~3,680ドルで底打ちすることに関しては懐疑的である。」

  「①エネルギー価格の高騰と②世界的な生産・物流網の逼迫を契機としたインフレが景気後退懸念により、やや落ち着きを見せたとしても賃金上昇によるインフレ圧力が続き、インフレ率はFRBが予測しているほど急低下しないと予測している。」

  「債権市場では来年の4月頃に金利上昇は頭打ちとなり、それ以降は利下げに転じるシナリオが織り込まれている動きとなっているものの、『新時代の労働者革命』が起こっている可能性を考慮すれば、賃金コストの上昇を契機としたインフレが高止まりしそうなので、素直に利下げすることが難しく株価の重石となりえると考えている。」

  前回記事を投稿した2022年7月時点での市場参加者の利上げ予測の中央値は、年内は12月までに3.25-3.50まで引き上げられて打ち止めされ、来年の5月以降に利下げに転じるという楽観的な予測だった。

  しかし、2002年9月13日に発表された8月の米消費者物価指数(CPI)は前月比予測−0.1%に対して+0.1%、コアCPIは予測+0.2%に対して+0.6%となり、市場に衝撃が走った。

  これを受けて、最新の予測の中央値では年内は4.00-4.25%まで利上げが行われ、来年の7月に利上げに転じるという予測となっていることから筆者が予測した通り、インフレが高止まりしている様子が露わとなり、米株や仮想通貨は再び下落へと転じることとなった。

  市場参加者がこれまでいかにFRBの利上げ姿勢を甘く見ていたかは筆者が作成した「利上げ予測MAP」を時系列でみれば一目瞭然だ(図1参照)。

  注目すべきは時間を追うごとに予測レート上限が切りあがっているという点だ。

  今回のCPIの結果を受けて、9月のFOMCでは1%の利上げも織り込まれ始めている。

  図1 市場利上げ予測中央値MAP

  筆者は先月時点でブログ読者の方には「楽観視は禁物であることから高値掴みだけは行わないように注意」と警告していたが、その背景としてCPIはピークアウト感が出ていた一方で、コアCPIは横ばいであったからだ。

  つまり6月と7月分のCPIが低下したのは、急速な利上げによる景気後退が懸念されて原油などのコモディティー価格が下落したことにより低下しただけであり、それを除いたコアCPIは低下していないため注意が必要だということだ。

  図2 米CPIとコアCPI

  今回、コアCPIが上昇したことも気がかりであるが、CPI(住宅関連)も上昇していることも非常に気になる。住宅関連価格に先行しているケースシラーは下落し始めているので、近いうちに住宅関連価格も下落してくることは間違いなさそうだが、FRBがさらに本気で金融引き締めを行わない限り、高止まりは続きそうに見える。(図3参照)

  急激な金融引き締めを行った結果、物価が急激に下落して期待インフレ率も急激に下落するのであれば、それもまた株式やビットコインには下落の材料となり、どちらにしてもダウンサイドリスクの圧力はまだ残っていると言えるだろう。

  図3 ケースシラー住宅価格指数とCPI(住宅関連)

  だからと言って、ここから急激に下落していくイメージも想像し難い。

  なぜならば米国では中間選挙間近ということもあり、本来は株価の動向を気にすることはFRBの仕事ではないものの、バイデン大統領の支持率を支えるために民主党に忖度せざるを得ない状況であることから、中間選挙が終わるまでは表では「インフレ抑制が命題」と示しながらも裏では株価を支えるような努力を続けると筆者は考えているからである。

  パウエル議長は8月のジャクソンホールの公演では9月の利上げ幅に関しては「データ次第」とお茶を濁し、1970年代を引き合いに出して、失業率が予想以上に上昇してもFRBの焦点は物価抑制であり続けるとし、「過去の事例は尚早な政策緩和に対し警告を発している」と述べたことで、タカ派姿勢が示されたものの実際の述べている内容は今までと大して変わらず、パウエル議長の本音は利上げを行いつつもできるだけ口先介入などでコントロールして引き締めの効果が出るのを待ちたいといったところだろう。

  米株(S&P500)は過去の記事でも述べてきた通り、過去の利上げ期+6カ月以上続いたベアマーケットの平均下落幅である約25%は既に到達していることから、$3325~3680ではボトムになった、もしくはなる可能性があると見るのが妥当であり、パウエル議長が想像しているようなソフトランディングとなれば、そのシナリオが濃厚だ。

  従って、米株(S&P5900)は$3325~3680近辺、ビットコインは$15965~$18515で買いという選択肢も決して悪くないが、筆者は上述したような様々なデータを見る限りではまだ下落への警戒は解けない状況であると考えている。(図4参照)

  あくまでイメージだが今後の展開としてはFRBによるギリギリの努力が続けられ、米株もビットコインも安値を割れてはショートカバーで戻して再び下落するような展開が起こって、ボトム感が醸成されていくシナリオを想定しており、そうこうしている間にリスクオフイベント(突発的な地政学的リスクや金融危機)に巻き込まれて、下落相場の終焉を迎えるのではないかと考えている。

  図4 BTCUSDとS&P500

  いずれにせよここからは楽観と悲観が交差し、非常に複雑なマーケットになっていくと予測しているため、高値買い、安値売りだけには要注意すべきだろう。

  さらに詳しい内容は筆者のブログでも解説する予定なので、以下のバナーから是非登録してみてほしい。

  著者 トシムリン

  トレード歴16年の現役為替トレーダー。20歳の頃から専業トレーダーとなる。6年間はトレードが上手くいかず一時借金を背負ったが、研究と分析を積み重ねて独自手法を編み出し、7年目からプラス収益となり、そこからは安定的に利益を出し続けている。一般投資家が持ちえないマーケットの内部構造を多角的に分析して市場を予測していくことが得意分野。分析能力と育成能力に定評があり、トレード教育によって多くの常勝トレーダーを輩出している。

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