仮想通貨市場の時価総額、1.19兆ドルのサポート維持が重要に

　　Marcel Pechman 2022年06月04日 16:30 仮想通貨市場の時価総額、1.19兆ドルのサポート維持が重要に

　　市場分析

　　仮想通貨市場の時価総額は過去23日間、1.19兆ドルから1.36兆ドルの範囲で推移しており、これは比較的タイトな13％の範囲だ。同じ期間内でビットコイン（BTC）は3.5％、イーサリアム（ETH）は1.6％のパフォーマンスとなっているが、決して喜ばしい状況ではない。

　　現在までのところ、仮想通貨市場全体は2カ月間で43％下落しているため、下降トライアングルが上方にブレイクしても、投資家は喜びそうにない。

　　Total crypto market cap, USD billion. Source: TradingView

　　データ駆動型のセンチメントゲージである「恐怖・強欲指数」が6月3日に100点満点中で10を記録したように、弱気なセンチメントは仮想通貨市場で続いている。仮想通貨市場の時価総額が1.7兆ドルのレベルを失い、1月27日以来最低のレベルに達した。恐怖・強欲指数は5月8日以来20を下回っている。

　　Crypto Fear & Greed Index. Source: alternative.me

　　以下の表は、過去7日間の勝者と敗者だ。BTCとETHという主要な仮想通貨が小幅な上昇を見せた一方で、一握りの中堅アルトコインが13％以上の上昇を見せた。

　　Weekly winers and losers among the top 80 coins. Source: Nomics

　　Waveベースの融資プロトコルであるVires Financeに流動性が戻った後、Wavesは109％上昇した。

　　カルダノ（ADA）は、6月29日に予定されている「バジル」ハードフォークによってスケーラビリティとスマートコントラクトの機能が向上し、分散型金融アプリケーションへの入金が促進されると投資家が期待したため、19％上昇した。

　　ステラ（XLM）は、送金大手のマネーグラムがステラ開発財団と提携し、ユーザーがステーブルコインを法定通貨に送金・交換できるサービスを開始したことで18.6％高となった。

　　ソラナ（SOL）は6月1日に予期せぬブロック生成の停止により8％の損失を出し、バリデーターは4時間の停止後に再度メインネットの再起動を調整する必要がありました。この問題は、過去12ヶ月間に7回、ネットワークに悪影響を与えている。

　　市場にさらなる圧力はあるか

　　OKXでのテザー（USDT）のプレミアムは、中国ベースの仮想通貨トレーダー需要の指標となっている。これは、中国ベースのピアツーピア（P2P）取引と米ドルの差を測定するものだ。

　　過度な買い需要があると、指標は100%の公正価値を上回り、弱気相場では4%以上のディスカウントを引き起こす傾向がある。

　　Tether (USDT) peer-to-peer vs. USD/CNY. Source: OKX

　　テザーは5月30日以降、アジアのP2P市場において2％以上のディスカウントで取引されてきた。しかし、6月1日に4％のディスカウントで底を打った。このデータから、仮想通貨の時価総額が1.3兆ドルの抵抗を突破できず、トレーダーが不意を突かれたことは間違いないだろう。

　　永久契約はインバース・スワップとしても知られ、通常8時間ごとに請求される手数料が組み込まれている。取引所はこの手数料を利用して、取引所リスクの不均衡を回避している。

　　資金調達率がプラスになるのは、ロング（買い手）がより多くのレバレッジを要求していることを意味する。逆にショート（売り手）が追加的なレバレッジを要求されると、資金調達率がマイナスに転じる。

　　Accumulated perpetual futures funding rate on June 3. Source: Coinglass

　　永久契約は、ビットコインとイーサリアムがややプラス（強気）の資金調達率を保持したが、アルトコインのレートは反対となっている。

　　デリバティブや取引指標によると、市場はさらに下落するリスクを抱えている。その証拠に、アルトコインの弱気ポジションの需要がやや高まっていることや、アジアに拠点を置くリテール市場の買い意欲が明らかに欠如していることが見て取れる。

　　強気派は、レバレッジを効かせた売りや弱気の賭けの増加、それに伴うマイナスの価格圧力を避けるために、時価総額で1兆1900億ドルのサポートを維持する必要があるだろう。n