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NFT導入のVRメタバースDecentralandとは

 NFT導入のVRメタバースDecentralandとは WikiBit 2021-12-20 01:40

「Decentraland(ディセントラランド)」は、イーサリアムブロックチェーンを基盤としたVRプラットフォームだ。分散型のメタバースでNFTを活用していることで注目を集めている。

  Cointelegraph Japan

NFT導入のVRメタバースDecentralandとは

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  解説

Decentraland(ディセントラランド)とは

  出所:Decentralandより作成

  「Decentraland(ディセントラランド)」は、イーサリアムブロックチェーンを基盤としたVRプラットフォームだ。2015年に開発が開始した。分散型のメタバースであり、仮想空間とNFT(Non-Fungible Token)を組み合わせたサービスということで注目を集めている。

  Decentralandでは、仮想空間内の通貨としてMANAが使われている。MANAはイーサリアムベースのネイティブトークンであり、Decentralandの独自通貨である。

  ユーザーは、Decentraland内のLANDと呼ばれるNFT化された土地を基盤とする仮想空間を、アバターとなって探索できる。アバターのファッションやLAND上に設置されるオブジェクトなどをNFTとして作成でき、MANAを介してそれらを売買するといった経済活動を行うことが可能だ。

  開発当初は原始的な2Dのプロトタイプだったものの、2016年には3Dによる仮想空間を発表。その後、2017年に本格的なメタバースの開発を行うためにベータ版を公開し、ICOによるMANAのプレセールを実施した。わずか数十秒で2400万ドルの資金調達に成功している。

  プレセール以降、MANAはバイナンスなど海外の多くの仮想通貨取引所にて上場しているが、残念ながら日本国内においては2021年11月現在、MANAを取り扱う仮想通貨取引所は存在しない。

  2020年2月に一般公開となったDecentralandは、現在もなお開発を継続中である。

  Decentralandの仕組み・従来のメタバースとの違い

  Decentralandをはじめとする3D仮想空間によるメタバースは、プラットフォームとしては新しいものではないが、Decentralandは従来のメタバースとは異なり、イーサリアムブロックチェーン上で開発され、分散化されていることが大きな特徴だ。

  プラットフォームのみならず、DecentralandのLANDやアバターのアイテム、その他オブジェクトはNFTとして管理されている。そのため、その所有権はユーザーのものとなり、NFTを資産として未来永劫保有し続けることが可能である。ここが従来のメタバースとは異なる点だ。

  オープンソースとして開発されているDecentralandは、スマートコントラクトとIPFS(分散型ストレージサービス)の組み合わせによって構築されている。そのため、Decentraland Foundationという非営利団体が監修するサービスでありながら、自律分散型サービスとして稼働し続けることができるのだ。

  IPFS(InterPlanetary File System)とは、現在の主要通信プロトコルであるHTTPを補完ないし代替すると期待される、新たなプロトコルである。HTTPと違い、主にP2P方式でデータの送受信を行う際に使用される。

  IPFSを活用することで、一部の巨大サービスに情報が集約してしまう問題を解決することができる。IPFSによって管理されるデータは、特定の管理者に依存せず、複数のストレージで分散管理することが可能だ。Decentralandに限らず、ブロックチェーンベースの分散型アプリケーション(DApps)を開発する際に使用されるのが一般的となっている。

  DecentralandではNFTの売買と課金コンテンツによって収益化も可能

  Decentralandのユーザーは、MANAで仮想空間のLANDを購入することで、土地の所有権を入手できる。購入した土地に建物などのオブジェクトを配置したり、デジタルアートからアバターアイテム、ゲーム(体験型コンテンツ)など、さまざまなエンタメ要素を作り出すことが可能だ。

  こうしたオブジェクトやアイテム、ゲーム体験は、イーサリアムの共通のNFT規格であるERC-721トークンとして発行され、Decentraland内または対応するNFTマーケットプレイスなどで売買されている。

  LANDの所有者は、ゲームやバーチャルカジノなど、自分で作成したコンテンツや体験をLAND上で課金コンテンツとして展開することもできるのだ。

  その他のユーザーは、Decentraland内のコンテンツを探索し、NFTを購入したりゲームを体験したりといった具合に、MANAを使って楽しむことができる。

  DecentralandではNFTとMANAを使ったエコシステムが成立しており、収益化も可能なのだ。人気のあるコンテンツや限られたLANDの所有権は、高額で取引が行われている。

  Decentraland専用のマーケットプレイスで売買されるLAND 出所:Decentraland Marketplace

  Decentralandの独自トークン「MANA」とは

  Decentralandの独自トークンMANAは、イーサリアムの共通規格であるERC-20に準拠したネイティブトークンだ。総発行量は21億9491万6827MANAに設定されている。

  MANAは、Decentraland内においてLANDの購入やその他のNFTの売買に利用できる。MANAの所有者は対応するデジタルウォレット間で送受金することも可能だ。

  Decentralandが販売するLANDの購入やDecentralandが開催するNFTオークションでは、購入代金は購入後にバーン(焼却)される仕組みになっている。こうすることで、流通する総量を減らし、トークンあたりの価格を高める設計となっている。

MANAの価格動向、10月に急騰後高値維持

  MANAは2017年のICOで初めて発行されて以来、長い間1MANAあたり1円~10円前後を推移していた。

  2020年12月には8円だったものの、2021年になってNFTが話題になるとDecentralandにも注目が集まるようになり、その価格は徐々に上昇傾向となった。これまでに何度も最高値を更新してきた結果、5月には170円超えている。

  その後は170円をピークにして、6月の50円を底値に100円以内を推移する状態が続いていた。しかし、7月になってFacebookがソーシャルメディア企業からメタバース企業へ移行するという報道がされると、メタバースというワードが注目されるようになり、それに併せてDecentralandもまた再度注目度が高まった。

  MANAの価格は10月に急騰し、一時は400円を超えて過去最高値を記録した。11月に入ってからは、300円~400円代を推移し、高値を維持している。

  出所:CoinGecko

  Decentralandの課題

  開発も進み一般公開となったDecentralandは、NFTやメタバースが注目されるようにもなり、ユーザー数は順調に増えつつある。仮想通貨やブロックチェーンを応用したサービスは敷居が高いといわれつつも、全世界で着実にユーザーを獲得してきたようだ。

  しかし、ここにきてDecentralandも例に漏れず、高騰するイーサリアムの手数料(ガス代)問題に直面している。2020年からのDeFiブームなどの影響を受けて、イーサリアムのガス代は乱高下が続いているため、Decentralandの取引手数料も高騰しているのだ。

  これはDecentralandの課題というよりもイーサリアムが抱えている課題だが、イーサリアムブロックチェーンを採用している以上、避けては通れない課題である。

  また、2021年になってからのNFTブームで、NFTが投資・投機の対象として見られるようになり、NFTそのものの価値や実用性以上の高値がつくようになってしまった。

  実際にNFTマーケットプレイスを見てみると、DecentralandのLANDの相場は数万円~数十万円と高額で取引が行われており、初心者や純粋にメタバースを楽しみたい人が、気軽にLANDを購入してアイテムやコンテンツを作って遊ぶことができなくなりつつある。

  NFTによる収益性は上がりつつも、メタバースとして純粋にコンテンツを提供することは難しくなっていると言えるだろう。

  Decentralandの今後

  手数料などの課題がある一方で、メタバースそのものは順調に発展しているといっても良さそうだ。Decentralandは、メタバース内にギャラリーを作りNFTを展示し、そのまま外部のマーケットプレイスと連携させNFTの取引を可能にしている。

  ロンドンを拠点とするオークションハウスのサザビーズは2021年6月、ニューボンドストリートにある本社のデジタルレプリカをDecentraland内に作成し、デジタルアートの展示・販売を開始した。リアル社会からのメタバースギャラリーへの進出が始まっているのだ。

  同月にはニューヨークを拠点とするデジタル不動産投資ファンドのRepublic Realmが、DecentralandのLAND259区画を購入した。Republic Realmの計画ではDecentraland上に日本の原宿を模した仮想商店街「Metajuku」を構築するという。

  Republic Realmが購入した259区画のLANDは当時、Decentraland史上最大級の仮想不動産の購入となったという。購入金額は129万5000MANA(1MANA=300円計算で、約3億8000万円)だ。

  また、2021年10月に初のメタバース音楽祭Metaverse Festivalも開催されている。音楽祭は、Deadmau5、AlunaGeorge、Alison Wonderlandなどの音楽アーティストによって、4日間のライブパフォーマンスが行われるなど、本格的なイベントが開催されていた。

  DecentralandはNFTの特徴を生かし、複数のNFTゲームとの提携を行うことで、NFTであるアイテムやキャラクターの互換性を持たせるといった展開も進めている。すでにDecentralandは、「AxieInfinity(アクシー インフィニティ)」「Etheremon(イーサエモン)」「Battle Racers(バトル レーサーズ)」といった人気NFTゲームと提携し、一部NFTの相互利用を実現させている。

  また、老舗ゲーム開発会社のAtariがDecentraland内にカジノなどのAtariブランドのゲームコンテンツを提供している。2021年3月にDecentral Gamesとの提携を発表したAtariは、4月にDecentraland上のVegas CityのCasino Quarterに位置する20区画に、カジノを立ち上げた。Atariはこれに連動させて、2022年にラスベガスにもリアルなカジノをオープンさせることを発表している。

  日本の企業であるアソビシステムも、8月にDecentraland内にグローバル文化都「メタトーキョー」を作ることを発表した。国内外のさまざまなクリエイター、パートナー企業と事業展開を行う世界初のプロジェクトとして始動し、デジタル上の文化都市の創出とエリア開発を行うという。

  このような需要に応えるべく、高騰するイーサリアムの手数料問題を解決するために、DecentralandはPolygonへの対応を進めている。2021年4月以降、すでに一部の取引が低コストで利用できるPolygonネットワークへと置き換えられているが、今後さらにPolygonに移行できれば手数料問題は解決に近づくだろう。

  そのほかにもDecentralandは今後、主要なVRゴーグルにも対応するなど、本格的な3D仮想空間の実現を目指すことも表明している。

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