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NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」とは

 NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」とは WikiBit 2021-12-17 22:00

Bored Ape Yacht Club(BAYC)は、Ape(類人猿)をモチーフにしたデジタルアートによるNFTコレクションだ。1つにつき数千万円で取引されるなど注目されている。そんなBored Ape Yacht Clubについて包括的に解説する。

  Cointelegraph Japan

NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」とは

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  解説

  ボアード・エイプ・ヨット・クラブ(Bored Ape Yacht Club:BAYC)は、米国Yuga Labsが制作するApe(類人猿)をモチーフにしたデジタルアートによるNFTコレクションプロジェクトだ。イーサリアムブロックチェーン共通のNFT規格であるERC-721トークンとして発行されたアート作品集である。

  コレクションは1万個のBored Ape NFTを集めたもので、表情、頭の形、服装など170以上の特徴的なパーツをプログラムで組み合わせて生成したユニークなものになっている。その組み合わせにより、中には他のもBored Apeよりも希少なものも存在する。

  2021年4月よりNFTマーケットプレイスOpenSeaで販売を開始したBAYCは、当初は0.08ETHで購入することができた。しかし、NBAで2度MVPを受賞したことがあるプロバスケットボール選手のステフィン・カリー氏を始めとする多くの著名人がBAYCを購入したことが話題になり価格は急騰し、もはや安価なBAYCでも40ETH~50ETH(2000万円~2500万円相当)前後の価格になっている。

  現在、BAYCは最も人気のNFTコレクションとして注目されており、BAYCとのコラボレーションによるグッズ展開やBored Apeをキャラクターとするメタバースバンドの誕生などエンターテイメントにも発展し、ポップカルチャーにも大きな影響を与えるほどに成長した。

  出所:OpenSea

Bored Ape Yacht Clubが誕生するまで

  BAYCは、友人4人の開発者チームによって制作がスタートしたアートコレクションプロジェクトという。

  プロジェクトの発起人であるGARGAMEL氏とGORDON GONER氏は、2017年にリリースされ、NFT市場ではすでに人気となっていたLarva Labs社のNFTコレクション「クリプトパンクス(CryptoPunks)」に精通していた。2人は、2021年の初めにNFTプロジェクトのブレインストーミングを開始した。

  先陣のCryptoPunksは、元々アバターとして発行されたものではなかったが、NFTの人気が高まり価格が高騰し始めたことから、一部のコレクターが購入したNFTをSNSのプロフィール写真として誇示するようになった経緯がある。

  そこでBAYCは、最初からプロフィール写真として利用できるアバターのようなもの作成するのを目指した。しかし、何かもっと馬鹿げたものを作ろうという結果、クールな類人猿のアートを描くことになったという。

  GARGAMEL氏とGORDON GONER氏は、その後2人の友人プログラマーNO SASS氏とEMPEROR TOMATO KETCHUP氏を招き入れて、4人のチームを結成した。チームは、すぐに必要なブロックチェーンのコーディングを開始した。

  また、プロジェクトのグラフィックを制作するために、プロのイラストレーターを雇った。これには、約4万ドルの費用がかかったという。

  BAYCの特徴は、漫画のような類人猿をベースに、デジタル着せ替え人形のように、体、頭、帽子、服を独自のアルゴリズムプログラムによってランダムに組み合わせて、ユニークな画像を生成している。

  アルゴリズムでは、レア要素としてレインボーの毛皮、レーザーアイ、トーガ(古代ローマの外衣)など、特定の特徴が稀に出現するように設計され、レアな類人猿は、よりコレクターに好まれ、価値が高くなるように設計されている。

  こうしてBAYCは、4月にOpenSeaにてリリースされた。BAYCはリリース当初から人気で、最初にリリースしたNFTは数日で完売した。5月には計画通りに、ツイッター(Twitter)のプロフィール写真にBAYCを利用するコレクターが増え、類人猿のプロフィール写真がSNSで目立つようになり、話題になった。しかし、その後BAYCは、オークションにより価格が急騰し、すぐに購入することが難しいNFTとなってしまったのだ。

  Bored Ape Yacht Clubのコンセプト

  BAYCは、主催側が「類人猿向け沼地クラブ(a swamp club for apes)」と表現するように、みんなで類人猿になって一緒に楽しもうというコンセプトを掲げたオープンなクラブだ。ちなみに沼地とは、沼にハマってどっぷりつかることを意味するスラングだ。

  BAYCのクラブ参加条件は、Bored Ape NFTを所有することのみであり、Bored Ape NFTはBAYCの会員証としても機能し、会員限定の特典にアクセスすることも可能となる。

  BAYCは、特典の第1弾として、コラボレーショングラフィティボード「THE BATHROOM(トイレ)」を用意した。

  出所:Bored Ape Yacht Clubツイッター

  THE BATHROOMでは、会員がひとりずつ入室できるダイブバー(小規模なオールド・スタイルのバー)のトイレのようなキャンバスに、落書きや罵詈雑言を自由に書くことができた。各会員が、15分ごとにトイレの壁にピクセルを描くことができる共同芸術実験ルームのようなものだという。

  Bored Ape Yacht Clubのコミュニティ

  BAYCには、コミュニティとしてチャットツールDiscordでBored Ape NFT保有者が参加できるグループチャットがある。グループチャットもまた会員証でアクセスできる仕組みになっている。

  会員制コミュニティは珍しくはないが、BAYCコミュニティの特徴は会員にBored Ape NFTを保有する著名人が多くいることだ。また、コミュニティ参加者はBAYCに投資している立場から、BAYCを保有する共同体としての意識も高いという。

  BAYCは、コレクションとしてのBored Ape NFT以外にも、会員限定の「BAYC Merch Store」を展開し、限定版のパーカーやTシャツなどのグッズを販売している。Bored Ape自身がアートとして盛り上がっていることから、グッズ展開はファッションとしても注目されるようになったのだ。

  こうしたBored Apeを応用したアイデアは、コミュニティなどでも日々盛り上がっており、BAYCは話題に事欠かない状況が続いている。

  BAYCの成功で新コレクションが誕生

  BAYCは好調なスタートを切り大きな成果を上げたことで、新たなコレクション「ミュータント・エイプ・ヨット・クラブ(Mutant Ape Yacht Club:MAYC)」を誕生させた。

  MAYCは、既存のBored Apeに「MUTANT SERUM(血清のようなもの)」というNFTを投与することで作成するか、パブリック・セールで手に入れることができるミュータントバージョンのBored Apeだ。最大2万個のNFTコレクションである。MUTANT SERUMは、Bored Ape NFT保有者にエアドロップされたが、OpenSeaの「Bored Ape Chemistry Club(BACC)」でも購入可能だ。

  出所:OpenSea

  またBAYCは、「ボアード・エイプ・ケネル・クラブ(Bored Ape Kennel Club:BAKC)」を立ち上げ、期間限定でBAYCの会員全員にBored Apeのペットとして子犬のNFTを発行した。子犬は売り物ではなく、イーサリアム手数料(ガス代)のみを支払うことで里親になることができた。

  出所:OpenSea

  BAKCコレクションは、OpenSeaにて販売することができるが、二次販売に伴い2.5%のロイヤリティが発生する。BAKCロイヤリティによる収益はすべて慈善団体に寄付されるという。

  BAYCは、こうしたコレクションや新たな遊びが期待できるNFTコレクションともいえるだろう。

  数億円のコレクションも!加熱するBored Ape Yacht Clubの人気

  BAYCを購入した著名人には、米テレビ司会者として有名なジミー・ファロン氏や、ラッパーのポスト・マローン氏、人気DJのDJ キャレド氏などがおり、SNSのプロフィール写真にBAYCを使用している情報が報告されている。

  出所:ポスト・マローン氏のツイッター

  日本では、エイベックス代表取締役会長で元CEOの松浦勝人氏が一時期ツイッターのプロフィール写真にBAYCを使用していたことが知られている。

  また、米大手オークションハウスのサザビーズで2021年9月9日、BAYC全作品のうちの101種類の作品で構成されたコレクション「101 Bored Ape Yacht Club」が、約2440万ドル(26億円相当)で落札された。

  NFTマーケットプレイスのOpenSeaでは12月9日現在、50ETH(2500万円相当)前後の価格の出品が多いが、中には数億円の価格で出品されているものも見られる。

  出所:OpenSea

  Bored Ape Yacht Clubの課題と今後

  BAYCの課題は、もはや価格の高騰であろう。どのBored Ape NFTも一般的な金銭感覚では購入が難しい価格帯になっている。予期せぬ価格の高騰は流動性の低下にも繋がり、コレクションにおいても一概に良いとは言えないものの、現状は価格が下がるような気配は見られない。

  BAYCを制作するYuga Labsは、当初は誰でも購入できる公平なNFTコレクションのリリースを目指していたこともあり、今後、新たに発行されるコレクションや企画にも期待したいところだ。

  また、外部では米グラミー賞受賞経験ある音楽プロデューサーのティンバランド氏が、BAYCをベースにした音楽レーベル「エイプイン・プロダクションズ(Ape-In Productions:AIP)」を立ち上げた。AIPは、ティンバランド氏とBAYCコミュニティのメンバー数名が共同で設立したレーベルという。

  出所:APE-IN PRODUCTIONS

  AIPは、BAYCのキャラクターをメタバース内の音楽アーティストとして成功および普及させるために活動を開始する。AIPのメンバーは、選ばれたBored Apesで、オリジナルの音楽やアニメーションをNFTとしてメタバースで発表するとしている。

  スポーツウェア系ブランドのアディダス・オリジナルスは2021年12月3日、Bored Ape Yacht Clubらとのコラボレーションを通じて、メタバースの世界に本格参入することを発表した。

  アディダス・オリジナルスは、リリースにてBAYCの「ape #8774」を購入したことも報告している。「ape #8774」は「Indigo Herz」と名付けられ、アディダス・オリジナルスの公式ツイッタープロフィール写真に使用されている。

  出所:addidas Originals ツイッター

  今後は、こうした動きもより活発になることが予想されている。BAYCの動向はもちろんだが、こうした関連の動きも見逃せないだろう。

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